組織を極める

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『自主経営組織の始め方 現場で決めるチームをつくる』を読んだ

英治出版さんから発売された新刊『自主経営組織の始め方 現場で決めるチームをつくる』を読みました。人生で初めて本をお送り頂くことも経験し、早く感想を書かなきゃと思っていたのですが、遅くなってすみません…
(実は自分でも予約していたので余った一冊は知人にプレゼントしました。)

メンバー一人ひとりが主体性を持ったセルフマネジメントチームをつくるために、必要な組織体制、役割、ルール(フレームワーク)について体系的、網羅的に記載されています。多様な事例が掲載されていたので、自分の考え方と照らし合わせながら読み進めることができました。その中でも気になった3つをあげます。

マネージャーの役割はファシリテーターである

「主体的なチームに変容するため、マネージャーは管理を手放し、ファシリテーションをする」ということが最も心に残りました。何をファシリテーションするかでいうと、以下のようなポイントが挙げられていました。

  • ファシリテーションするとは、結果だけではなくプロセスに関わること
    • チームと話し合うとき、内容(何が問題か)とプロセス(どう対処すべきか)を結びつける必要がある
  • 解決策を見つけるのはチームの仕事
    • マネージャーは辛抱強さが求められる。ただし、その忍耐がきっと報われる
  • チームは問題を解決できるが手助けが必要という前提で動く
    • サポートする動き方をすることでマネージャーが信頼を得る

仕事の成果(質と量の両面)は、チームメンバーが持つ

「チームメンバー全員で意思決定の責任を持つため、合意によって意思決定がなされる。」
合意と一般的にいうと、全員が意見を一致することと取りますが、本書によると反対意見がなくなるまですり合わせることとありました。要するに、反対ではないことが明確になればよく、あとは進める過程で認識が擦り合っていくのだろうと取りました。
そしてマネージャーがやっては行けない例も具体的に上がっていました。

  • チームに指示を出すこと
    • 自分たちで問題解決する場面を奪ってしまうため
    • マネージャーがチームを無能と思っていることを露呈するから

ルールではなく、フレームワークをつくる

「ルールとフレームワークの違いは、ルールは管理的な視点から生まれ、厳格に定量化される。フレームワークは実際の業務内容に基づき、個人の解釈の余地がある。」
一般的に個人の解釈の余地があることは悪いことであると受け取られます。しかし、柔軟性を持たせることが個々の考える力を養い、主体的な動きにつながると理解しました。さらに余白があることで、空白を埋めるための対話が増え、結果的にコンテクストが共有されていくんだろうなと思いました。


そして最後に第9章「対立に対処する」で引用されていた言葉です。

平和とは対立の不在ではなく、
平和的な手段で対立に対処できる能力のことだ。ーロナルド・レーガン

まさにおっしゃるとおり。このようなコミュニケーションをとるために、本書の途中にあった「妥協または譲歩する心構えができていること」も大事なことだなと噛み締めました。