組織を極める

組織や人に関することが好きなので情報発信します

献本頂いた『成長を支援するということ』を読んだ話

僕が大好きな英治出版さんから発売された『成長を支援するということ――深いつながりを築き、「ありたい姿」から変化を生むコーチングの原則』を献本頂きました。ティール組織きっかけでつながりを頂いた方からの献本で、とても楽しみにしていました。本書を読んで僕が印象に残ったことを3つまとめます。

思いやりのコーチン

思いやりのコーチングとはクライアント(コーチを受ける人)とコーチが信頼関係をもって互いを認め合っているコーチングと受け止めました。従来型のビジネスコーチングでは、目標を具体化し、現状とのギャップから課題を特定し、何をするか(アクションプラン)に落とし込みます。思いやりのコーチングは、理想の自分(パーソナルビジョン)を描き、現実の自分を見つめ強み・弱みを理解し、学習アジェンダを設定し、具体的に実践するステップを踏みます。

従来型のコーチングは、周囲からの期待を前提とした理想と現実のギャップを解決するアプローチです。〜すべき、〜しなければならないという外圧的な力に基づきます。一方で思いやりのコーチングはうちから出る力を最大化します。PEA(Positve Emotional Attractor)というポジティブな感情を誘引する因子に結び付けられることで、持続的に変化し続けることができます。

この内面から湧き出る力を引き出すためには、クライアントとコーチの信頼関係が重要です。コーチがポジティブなマインドを持ち、心からクライアントを支援したいと考えるとき、共鳴する関係に行き着きます。コーチとしての専門能力はもちろんですが、在り方も重要と理解しました。

コーチがすべてを見えているわけではない

発達障害を疑われる未就学児の事例がありました。具体的な内容はネタバレするので、割愛しますが、僕自身も目からウロコの事例でした。コーチは、クライアントよりは俯瞰して現状を認識することができますし、そう努める必要があります。とはいえ、コーチがすべてを認識できているわけではなく、むしろ専門家だからこそ経験や過去の成功体験が邪魔をすることもあります。

クライアントに意識を集中するが、「監督すること」や「教えること」ではない。クライアントを導くことで、感情を自覚させ、同時にまわりの人々や指摘されなければ見落としていたかもしれない状況の別の側面に目を向けさせること、とありました。過信することなく、ありのままを見つめる大切さをあらためて学びました。

コーチャブルな状態

コーチングに適した瞬間はいつでもあるという前提に立ちつつも、効果的な瞬間があります。例えば、昇進したとき、転職したときなどの新しいポジションに付いたときです。さらに肝心なのは最初の2年とのことで、能力発揮のためにはその2年の支援が必要です。 それ以外にも、人生やキャリアの転換点はコーチングに適しています。卒業まえ、結婚まえ、子どもを生む・養子を迎えるまえ、一生の病気または末期疾患を宣告されたときなどです。

一方でコーチングに適さない状態もあります。現状に満足している場合、抑圧的、または過酷な環境にいる場合、すでにかけたコストが大きすぎていまさら路線変更できない場合などです。以前読んだ一兆ドルコーチでも、万人にコーチングができるわけではないという内容がありました。ポジティブなマインドセットが難しい状況もありますので、そのようなときは環境の変化を待つのも一つかもしれません。

まとめ

全体を通してポジティブなマインドセットで構成されており、楽しく読み進めることができました。コーチングの実践的な手法も勉強になりますが、やはりコーチとしての在り方が大切だと身にしみました。すでにコーチとしての仕事をしている人はもちろんですが、これからコーチを志す人や、部下を持つマネージャーにもおすすめの一冊です。

読者モニターに当選して『フリーダム・インク』を読んだ話

久しぶりにブログを書きます。前回書いたブログも英治出版さんの読者モニターに当選した記事でした。本当はもっとアウトプットしたいのですが、筆不精ですみません…

今回は約1年ぶり2回目の当選です。英治出版さん、今回もありがとうございます!僕がどれだけ英治出版好きかは読者モニターに当選して『解像度を上げる』を読んだ話 - 組織を極めるをご覧ください(笑)

今回のフリーダム・インクは、一言で言えば『ティール組織』の実践書です。原書の『Freedom, Inc』は、2016/2/23 に発売されました(Amazon調べ)2008年に発売されました。ティール組織の原書の『Reinventing Organizations』が2014/2/20発売ですので、Reinventing Organizationsを参照しているかもしれません(そこまで調べていません)

※ 書籍の出版年が誤っているとのコメントを頂きました。ありがとうございます。フリーダム・インクに登場する事例が古かったので、Reinventing Organizationsよりも先に出版されたのではないかと思っていたのですが、腑に落ちました。

なぜそう感じたかというと、ティール組織に登場するFAVIの事例があったからです。その他にはハーレーダビッドソンゴアテックスのW・L・ゴア&アソシエーツなど、日常生活に馴染みのある企業も登場しますので読みやすいです。肝心の内容ですが、僕がこの本を読んで良かった点を2つ上げます。

  1. WHY企業とHOW企業という表現で、従来型と進化型組織の違いをシンプルに説明している
    • 小難しい理論ではなく実践的でわかりやすい
  2. 企業変革をどのように行ったかの成功例だけではなく、失敗例も紹介されている
    • ハマりそうなポイントあるいはかつて自分がハマったポイントが理解できる

以下、簡単にまとめます。

フリーダム・インク書影

1. WHY企業とHOW企業

WHY企業とは、社員人一人がビジョンを心から受け入れて、主体的に行動する企業と解釈しました。一方でHOW企業とは、上司が部下をコントロールし、顧客価値に役立たないルールの遵守に固執する企業と捉えました。WHY企業は解放型のリーダーシップに基づきます。リーダーは現場こそがもっとも顧客のことを理解しているという信念を持ち、いかに働きやすい環境を整えるか、に力を入れます。解放型リーダーシップの大事なポイントは3つ「関係性」「能力の発揮」「自律性」であり、人はこの3つを大切にすると本領発揮するとのことです。

この「関係性」と「能力の発揮」と「自律性」は、成人発達理論でいう、人がパフォーマンスを発揮する条件(環境と能力と課題がフィットするときに能力を発揮する)とも合致します。当たり前のことなのですが、関係性の良い環境で、自分の強みを活かすことができ、主体的に課題に取り組むことができれば、社員一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮します。問題はこのような組織をどう作るかなのですが、それが次に書かれています。

2. 企業変革の成功例と失敗例

では、どうしたらHOW企業からWHY企業へと転換できるのか。以下の3つが大切と読みました。 - まず経営陣が変わる - ミッション、ビジョン、価値観、戦略を丁寧に腹落ちするまで伝える - 最後に責任と権限を移譲し、解放型のリーダーシップを発揮する この順番がポイントです。

はじめに、経営層が変わらないことにはWHY企業への変革はありえません。これは『ティール組織』にも書かれていましたが、経営層のあり方が全社に影響を与えるからです。わかりやすかったのが、レンタカー会社の例で、社長自らが営業所のフロントに立ち、顧客対応を行った事例です。社長自らが現場で何が起きているかを身をもって体験することが無駄なルールを排除する一歩目になると理解しました。トップのこのような姿勢は、現場で働く社員からの信頼も増すと思います。

続いて、「ミッション、ビジョン、価値観、戦略」の腹落ちなくして、進んでは行けないと学びました。とある事例では、ミッション・ビジョンの腹落ち前に解放型のリーダーシップを取った結果、むしろ組織崩壊したとありました。これは僕自身も経験があります。かつて、とある部門を任せていただいた際、十分な共通ビジョンを持てないまま自律分散型の組織スタイルを取った結果、ミドル層から支持されず組織がうまく回らないことがありました。他社事例もそうですが、自分の経験とも重なる失敗例で、納得感がありました。なんでも解放すれば良いというわけではないということですね。

最後に、解放型リーダーシップの発揮方法も具体的に書かれています。特に刺さったのはSOLという清掃サービスを行う会社のCEOヨロネンさんの一言。「私たち経営者が飛行機や一流ホテル、自動車にお金をかけたら、社員たちも真似をするでしょう」同族会社だからこそ、経営者自身が質素倹約に努めることで全社へのメッセージになります。結果、費用の90%が人件費というコスト構造ながらも、(営業)利益率7〜8%を維持できるだけの低い販管費率に抑えることができるとのことでした。決してコスト削減を強要するわけではないのですが、リーダーシップのあり方が社員一人ひとりのHOWへと伝播していくということですね。

さいごに

以上、フリーダムインクの雑感でした。400ページを超える読み応えのある一冊ですので、読み切るには覚悟が必要です!実践的な良書ですので、組織好きの方はぜひご一読ください。ちなみに翻訳者と編集者は『ティール組織』を手掛けられた鈴木達哉さんと下田理さんコンビですので、その点でもおすすめです!

英治出版の読者モニタープログラムにより無料で書籍を受け取りました。このサイトにレビューを書くよう求められてはおらず、上記はあくまでも個人としての見解です。

読者モニターに当選して『解像度を上げる』を読んだ話

はじめに

英治出版さんが定期的に募集している読者モニターにふと申し込みました。いつもメルマガは読み飛ばしているのですが、なんとなくエントリーしようかなと思ったら見事当選!わずか2日後には自宅に届いた『解像度を上げる』を読了したので、感想をシェアします。

『解像度を上げる』

英治出版さんがどれだけ好きか

本題に入る前に僕がどれだけ英治出版さんが好きかを話します。自宅の本棚から英治出版さんの本を引っ張り出したところ20冊ありました。人・組織系の分野に強いイメージですが、どの本も面白く信頼して読むことができます。なぜならアカデミックと実践がうまい感じに混ざっており、読んで終わりだけではなく試すことができるからです。 中には『U理論』のような難解なものもりますが、『insight』や『なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか』は現場で試せる気づきを得られます。マネージャーのみなさんにおすすめですね。

自宅にあった英治出版の本

『解像度を上げる』をおすすめの人

さて、そろそろ本題に入ります。まず、この本をおすすめできる方は新規事業に取り組む方です。スタートアップに必要なノウハウが惜しむことなくまとめられています。学生起業家のような方にも良いかも知れません。 次に、ルーティン業務だけではなく何をやるかを自ら考える役割の方です。企画系の業務を担当している方や、メンバーを率いるマネージャーが該当します。日々の業務に忙殺され、何からやればよいかを悩むこともあるかと思いますが、どうやってフォーカスするかがわかります。

  • 新規事業に取り組む方
    • まず8章を読むことをおすすめします。これから取り組む新規事業はどのような理想を実現することを目的としているのか。なぜあなたは、しんどい新規事業に挑戦するのかの勇気をもらえます。
  • 自ら考える役割の方
    • 冒頭から読み進むことをおすすめします。『解像度を上げる』ことが体系的、網羅的にまとめられており、どんどん読み進めることができます。総論から各論へと話が進みますので、読めば読むほど解像度が上がり、仕事の生産性も上がるでしょう。

僕が感じたこの本の提供価値

次に、この本を読むことで得られることをまとめます。この価値が刺さったという方はぜひご一読くださいね!

解像度とは何か、がわかる

著者は解像度とは何かを定義しています。深さ、広さ、構造、時間の4つの軸です。そしてこの4つの精度を上げるためにどのような考え方、行動をとればよいかが具体的に書かれています。まずは愚直に取り組むことで、血肉化できます。

自分の思考を整理できるようになる

解像度とは何かがわかると、そのフレームで自分の思考を捉えることができます。深さ、広さが足りないのか、構造化ができていないのか、時間軸の考慮が弱いのか、など思考の点検ができます。思考が浅い部分があればさらに考え、行動を変えることで、期待する価値に近づけることができます。

濃度高く学ぶことができる

僕が気づいただけでも以下のような考え方が織り込まれています。

著者がこれまで学び実践してきたことがギュッと濃縮されています。これらの考え方を知らずとも、一冊読むだけで思考力・行動力がパワーアップすること間違いなしです。

自分自身の一番の気づき

僕自身の一番の気づきは、目的、課題、解決策、価値のつながりです。まず、解決策を考える前に十分に課題の解像度を上げる必要があります。なぜなら、課題以上の価値は生まれないからです。課題が明確になり、その課題に適切な解決策をフィットさせることで、価値が生み出されます。課題以上の価値は生まれない、この原則は重要です。 生み出す価値を定めるには、目的を明確にすることです。目的を達成するために必要な最小限の条件を「サティスファイス」というとのことです。「サティスファイス」を意識し、目的、課題、解決策、価値が一貫性を持ってつながれば、期待する成果を生み出せると学びました。

さいごに

そして何よりも今の自分に効いたのは、元気をもらったことです。大きな課題を描き、挑戦することが自己成長や社会の発展につながります。当たり前のことですが、今の自分を捨てることは怖いことです。しかしながらこの本は、大胆な一歩を踏み出すための勇気を与えてくれます。 「理想を生きなければ、行動しなければ、未来の解像度は上がっていきません」という言葉がありました。著者の熱量をビンビンもらったので、自分自身の理想を描き、実現に向けた一歩を踏み出すことを宣言します!

解像度を上げる|書籍|英治出版

幸せとはスキルである

前回のブログから1年以上の期間が空きました。これだけの時間、自分がアウトプットしてこなかったということにびっくりしています。直近は走り続けてきましたが、自分を振り返る時間を意図的にとるためにも、もう一度ブログを書こうと思い立ちました。今日は、最近読んだ本『予測不能の時代』からの学びを共有します。

幸せとはなにか

著者は

幸せを感じる手段は人それぞれ異なるが、幸せを現す生化学現象は人類共通である

と言います。

確かに何で幸せを感じるかは人それぞれ異なりますよね。僕も好きな野球を見て、大好きな阪神が勝ったときには最高に幸せな気分になります。ただし、このような一過性の幸せよりも努力により変えられる幸せが大事とも著者は言っています。幸せには時間軸により3つの種類があります。

  • 遺伝や幼児体験に影響を受ける幸せ(変えにくい幸せ)
  • 外部から一方的に与えられる環境変化(変わりやすい幸せ)
    • 例:宝くじがあたったり、ボーナスをもらったり
  • 努力や学習により変わる幸せ(スキルにより身につけられる幸せ)

この中で3つ目の幸せを高めることが大事ということです。

幸せの測り方

では、幸せをどうやって調べるのでしょうか? 従来の計測方法は、アンケートによる主観的な回答でした。一方で、幸せは無意識から生まれる行動のパターンで計測可能といいます。ウェアラブルバイスにより、人体の動きは計測可能になりました。我々は9割以上を無意識に行動すると言われています。無意識に現れる幸せの動きは、マウスでも同様のパターンを確認できるとのことです。幸せは客観的に測ることができるのですね。

幸せへの2つの視点

幸せになるために2つの大切な視点があります。「個人の幸せ」と「集団との関係性による幸せ」です。

個人の幸せを高めるには4つの大事なことがあります。

  • ホープ(Hope):自らの進む道を見つける力
  • エフィカシー(Efficacy):現実を受け止めて行動する力
  • レジリエンス(Resilience):困難に立ち向かう力
  • オプティミズム(Optimism):前向きな物語を生み出す力

これらを心の「資本」と呼びます。「資本」ですので、ストックできるものです。頭文字をとってHELOと覚えると良いとのことです。

同じく、集団との関係性から生まれる幸せにも大事なことが4つあります。

  • フラット(Flat):均等。人と人とのつながりが特定の人に偏らず均等である
  • インプロバイズド(Improvised):即興的。5分から10分の短い会話が高頻度で行われる
  • ノンバーバル(Non-Verbal):非言語的。会話中に身体が同調して動く
  • イコール(Equal):平等。発言権が平等である

このような関係性を持った組織が幸せなチームとのことです。頭文字を撮ってFINEと覚えます。

HELOなマインドセットを自分で持ち、FINEな関係をチームで作ることで幸せが循環します。幸せは一人では生み出せないのです。人に幸せを届けることで、幸せな環境になり、その環境の一員である自分も幸せになります。幸せは行動から生まれるものであり、状態ではありません。

幸せになるための鍛錬方法

著者によると幸せはスキルで高められます。スキルを高めるのに役立つのが中国の古典『易(えき)』の考え方です。『易』では、予測不能な変化に対する向き合い方をまとめたものです。 64分類にまとめられた変化に対する視点は、個人と集団、内面(表に見えない)と外面(表に見える)の4象限に分けて細分化されています。詳細は割愛しますが、4つの視点を俯瞰して捉えることが変化に立ち向かう上で重要とのことでした。変化に対して常に視野を広げて見ることで、どのような状況でも楽観的に物事を捉えられるようになります。

考えたこと

幸せとはなにかから始まり、幸せになるために必要な個人と集団の関係、鍛錬の仕方までギュッと詰まった一冊でした。最初から最後までわかりやすかったのですが、易の考え方が出てきたところで1点不思議に思いました。

幸せには個と集団の関係性が大事であることは理解できました。一方で、なぜ内面と外面の話がでてきたのか。個人と集団、内面と外面の4象限で整理すると変化に対する向き合い方はこのように整理されます。

- 内面 外面
個人 覚醒する 成長する
集団 尊敬する 共鳴する

これはインテグラル理論のフレームワークです。なぜ、著者はこの整理に行き着いたのか。『易』がこの4象限で捉えていたのか。『易』を学んでみたいなと思いました。

Withコロナ/Afterコロナで、組織や働き方はどう変化していくか

ちょっと壮大なテーマになりますが、Withコロナ/Afterコロナを考える中で、思わず筆を執ってみました。(正確にはタイピングをしてるわけですが)

この人類史に残るであろう出来事を踏まえて、組織や働き方がどのように変化していくのかを、考えてみたいと思った次第です。完全に僕の妄想ベースですので、ファクトがあるわけではありません。ただ、こんな風に変化していくんじゃないかなぁ、変化していくとワクワクするなということを書いています。

そもそも組織とは

組織は何のために存在するかですが「一人では実現できないことを成し遂げる手段」と捉えています。ホモ・サピエンスが進化した理由は、集団で戦う力が勝っていたから。さらにその要因はコミュニケーション力にあったと言われています。われわれ人類だけが得ることができた「集団で戦う力」を最大化するために、きっと組織は存在するのでしょうね。

組織における役割分担

それでは組織における役割を分類すると、どのようになるのでしょうか。僕は大きく3つかなと考えています。

役割 どんな人 具体例
リーダー 事業や組織のビジョンを示し、引っ張る人 経営者、マネージャー、チームリーダーなど
オペレーター リーダーのビジョン実現を推進し、発展させる人 メンバー
プロフェッショナル リーダーのビジョンとオペレーターの実行力の差を埋め、ビジョン実現に近づける人 弁護士、会計士などの専門家や業務委託など

オペレーターと表現するとネガティブな印象があるかもですが、決してそんなことはありません。オペレーターがいるからこそ、持続的に事業・組織が成長していくと考えており、むしろ重要です。これら3つの役割に優劣はなく、どれも大切な役割と考えています。

この先、組織における役割分担はどうなる?

3つに整理したリーダー、オペレーター、プロフェッショナルの役割ですが、それぞれの特徴が尖ってくると思います。個人のキャリアの描き方の視点で考えると、オペレーターからリーダーまたはプロフェッショナルに。逆にリーダーからオペレーターにと行ったり来たりにもなりそうです。

さらに組織に対する帰属意識や雇用形態も変化していくでしょう。正社員からフリーランスに。フリーランスから契約社員や正社員にと、環境や自分のやりたいことに合わせて働き方を変えていきそうです。組織マネジメントの視点に立つと、無期雇用の正社員だけで固定的に組織化するのではなく、環境や課題の変化に応じて柔軟に変化する組織が求められます。そのような中で、役割、帰属意識、雇用形態がどう進化していくか妄想してみます。

個性と強みの進化

リーダーは、ビジョンを示さないと、顧客もメンバーも付いてこなくなるのではないでしょうか。何のために事業を行うのか。誰に何の価値をどうやって提供したいのか。その先にどんな世界を実現したいのか、を語り続けることがより一層求められそうです。表面的に語るのではなく、自分の信念とワクワクするゴールイメージを結びつけて仲間を惹きつけることが大切です。

オペレーターは、ビジョンを信じ、やり抜く力が足りないと、働き方・生き方に迷いそうです。自分は何故ここにいるのか。自分が成したいことはなにか。どうチームに貢献するのか。チームメンバーからはどう貢献することが求められているのか、を考え続けることになるでしょう。専門性は必要ですが、それ以上に今ここで働く目的を見いだせないとしんどくなりそうです。

プロフェッショナルは、専門能力・人間力が足りないと、価値創出ができなくなるでしょう。何が自分の価値なのか。それをどうやって発揮するのか。何がユニークで、なぜ他人はマネできないのか。課題と状況に応じて、個性と強みを発揮し続けることが求められそうです。弁護士や会計士などの専門家だけではなく、エンジニアやデザイナーもフリーランスが当たり前になってきました。この先はさらにあらゆる職種のフリーランス化が進んでいくでしょう。

帰属意識と雇用形態の変化

次に帰属意識ですが「帰属意識」という概念も役割によって変わりそうです。リーダーは、企業・事業の存在目的(ミッション)に。オペレーターは、企業・事業の持続的な成長に。プロフェッショナルは、企業・事業の変革にそれぞれコミットするのではないでしょうか。となると、リーダー、オペレーターは企業・事業への帰属意識が求められ、プロフェッショナルは、帰属意識は薄いでしょう。そして帰属意識に対応して雇用形態も変わってきそうです。

リーダーは、事業・組織を引っ張ることが期待されます。執行役員やマネージャーは無期契約よりも有期(例えば1年〜3年単位の)契約の方が向いているかもしれません。中長期の時間軸でビジョン実現にコミットするためには、有期契約で結果責任が明確な方がしっくりきます。長くても3年ごとに、組織と本人のミッションが擦り合っているか確認しながら契約更新していくイメージでしょうか。

オペレーターは、正社員での安定的な雇用が適しているでしょう。長くパフォーマンスを発揮し続けてもらいたいので、雇用期間も無期のほうがフィットします。組織マネジメントの視点で考えると、能力開発投資は長く働くオペレーターにフォーカスするのが良さそうです。人事制度やトレーニングはオペレーターに最適化し、リーダー・プロフェッショナルは自己研鑽を求める感じでしょうか。

プロフェッショナルは、プロジェクト単位の成果ベースの契約が適していそうです。時間や場所に縛られず、プロジェクトのゴールに対して成果で定義する。プロジェクトの課題に対してバッと集まって、ガッと解決して、サッと去っていく。報酬は少し高くても、短期間で成果創出してくれるのが、プロフェッショナルな働き方ですね。

働き方の変化について

今後、知的労働者は、リモートワーク中心の働き方になるでしょう。時間や場所を裁量に委ね、事業・組織目的とその成果にコミットする働き方です。知的労働者には、管理型のマネジメントは適しません。性善説に基づく信頼のマネジメントがフィットしそうです。こう書くと何でもかんでも本人の裁量に委ねると捉えられるかもしれませんが、そうは考えていません。

例えるなら、最低限のルール・規律に基づく、信頼のマネジメントという感じでしょうか。チームの目指すビジョンや目標(成果水準)は厳格に規定され、その中で個性を十分に発揮する働き方です。リーダーはこの絶妙なバランスをマネジメントし、ときにはリーダーシップで引っ張っていくことが求められるでしょう。もしメンバーがサボるとしたらそれは半分リーダーの責任でもあります。魅力的な役割や業務をデザインできいないということになりますから。

まとめ

徒然なるままに書きましたが、今は一人ひとりが生き方、働き方を見つめ直していると思います。これから先どうなるのか見えない状況は続きますが、変化の兆しは起きています。僕自身もこれからどう世界が変わるのか、その中で自分がどうありたいのかを考えているところです。大変な状況ではありますが、このタイミングに生を受けたことをポジティブに捉えて、新しい組織のあり方を考えていきたいと思います。

コロナウィルスのリスク対応と組織を元気にする取り組み

コロナウィルスは今のところ収束の兆しを見せず、猛威を奮っています。自分の想定以上の状況になり、リスク管理の甘さを反省しました。リスク対応だけではなく、組織の活性化も同時に求められる難しい局面に、組織や人事に関わる方も試行錯誤していると思います。僕が働くオズビジョンで実施した具体策を共有することで、何かしらのヒントになれば幸いです。

みんなの安全を守る施策

まず第一に考えなければ行けないことは働く仲間の安全です。そのために以下のような施策を実施しました。

  • リモートワークの推奨(その後、必須に)
  • Slackでの情報共有用のチャンネル作成
  • コロナウィルス対策マニュアルの策定
  • 困っていることリストによる可視化
  • リスクシナリオの検討

どんなことを実施したか、一つ一つ見ていきましょう。

リモートワークの推奨(その後、必須に)

中国でのコロナウィルスの拡大が報道されはじめた2/17の時点で、全社員のリモートワーク推奨を周知しました。現在は出社禁止(リモートワーク必須)です。もともと働く場所や時間を選ばない自律型勤務制度を導入していたため、それなりにスムーズにリモート体制へと移行ができましたが、派遣社員の方などへの対応も必要でした。正社員、業務委託、派遣社員など雇用形態に関わらず、リモートワークを導入しました。
リモートワークでお困りの方は、体系的・網羅的にまとめて頂いているソニックガーデン倉貫さんのブログをご覧ください。
www.sonicgarden.jp

Slackでの情報共有用のチャンネル作成

コロナウィルス関連の情報をリアルタイムに伝えたい、かつ、埋もれないように Slack では専用のチャンネルを立てました。日々更新されていく情報を発信することが目的です。また、人事部門だけではキャッチしきれていない情報を上げてもらってもいます。

コロナウィルス対策マニュアルの策定

「1、体調不良の場合」「2、社員が感染した・社員に感染の疑いがある場合」「3、社員が感染者と接触した場合」「4、出社時のルール」「5、来客時の対応」をまとめた対応マニュアルを作成しました。発生当初は不測の事態にどのような対応を取るのが良いのか、意思統一が図れていませんでした。「会議室は定員数の半分の人数で利用すること」などの細かいルールも明文化することで、実務的な行動基準まで決めました。

困っていることリストによる可視化

社員のみんなが困っていることを気軽に上げてもらえるようにスプレッドシートを準備しました。具体的にはこのような困りごとが上がってきました。

  • PCマイクだと音声が悪いので、マイクセットが欲しい
  • Wi-Fiが弱いとか容量制限がある等で会社と同じパフォーマンスが出せないケースもあるようなので、貸し出し用のルーターが欲しい。
  • 単純にみんなに会えないのが寂しい。しょーがないですが。
  • 全社会議(昼会)で、いつも以上に反応が見えず不安になる

設備から感情、一人暮らしや家族と暮らす人など、その人の状況によっても困りごとがたくさんあることがわかりました。率直なフィードバックを集めることで、みんなが不安なことを知ることができました。困りごとには、担当を割り振り、解決策を考え、人事・総務・情シスのメンバーで分担して対応しました。

リスクシナリオの検討

楽観(3〜4月に収束)、通常(6〜7月に収束)、悲観(年内いっぱい続く)の3つのパターンに分け、どのようなことが起こるかを想定し、対策を検討しました。組織面だけではなく、事業、財務を含めて行いましたが、組織にフォーカスすると、人事マネジメントシステムの運用が平時のようにできないこと、肉体的・精神的疲労の蓄積、組織文化の希薄化などの懸念があります。起こりうる未来を想定することで、いまやることを具体化することができました。

組織を元気にする施策

これまではリスク対応の話でしたが、それだけやっていても暗い雰囲気になりがちですよね。少しでもこの状況を前向きに進めるために以下の取り組みを実行しました。

  • テレビ会議システムの導入(zoom)
  • zoomによるシャッフルランチ
  • 全社会議の盛り上げ

リモートワークによって一人ひとりの状況が見えづらくなる中で、テクノロジーと人力を組み合わせて組織が元気になることを試みています。

テレビ会議システムの導入(zoom)

Googleのハングアウト(Meet)は導入済みではありますが、あえてzoomも導入しました。動きが軽く画質がよいこと、ハングアウトより顔が見やすいこと、録画ができることなどのメリットがあります。これまでハングアウトで行っていた1 on 1はzoomに変えることで、やりやすくなりました。また、zoomには背景を変える機能もあり、宇宙や原っぱから会議に参加することも可能です。年間2万円程度で有料版が利用できますので、投資対効果は十分と思います。
zoom.us

zoomによるシャッフルランチ

上述のzoomを利用して、お昼の時間にランダムな人とご飯を食べるシャッフルランチを実施しました。zoomには参加者を少数のグループに分けて個別にミーティングルームをつくる機能があります。普段なかなか話さないメンバーと一緒になることで部門を超えた交流促進にも繋がります。カジュアルな話題から本質的な話につながることがあったりと、いろんなメンバーと話をすることの大切さに気づきました。ランダムに部屋を割り振られるので、そのドキドキも楽しみですよ。

全社会議の盛り上げ

全員リモートで参加するミーティングは意外とやりづらいものです。そこで、お昼の会議のオープニングに「ウキウキWATCHING」を流してみました。うけたかどうかは聞かないでください。

最後に

日々状況が変わるからこそ、仲間を信じて、機動的・自律的な意思決定を進めていきたいですね。社会や組織を一回り成長させる機会と捉えて、困難を乗り越えて行ければと思います。

『自主経営組織の始め方 現場で決めるチームをつくる』を読んだ

英治出版さんから発売された新刊『自主経営組織の始め方 現場で決めるチームをつくる』を読みました。人生で初めて本をお送り頂くことも経験し、早く感想を書かなきゃと思っていたのですが、遅くなってすみません…
(実は自分でも予約していたので余った一冊は知人にプレゼントしました。)

メンバー一人ひとりが主体性を持ったセルフマネジメントチームをつくるために、必要な組織体制、役割、ルール(フレームワーク)について体系的、網羅的に記載されています。多様な事例が掲載されていたので、自分の考え方と照らし合わせながら読み進めることができました。その中でも気になった3つをあげます。

マネージャーの役割はファシリテーターである

「主体的なチームに変容するため、マネージャーは管理を手放し、ファシリテーションをする」ということが最も心に残りました。何をファシリテーションするかでいうと、以下のようなポイントが挙げられていました。

  • ファシリテーションするとは、結果だけではなくプロセスに関わること
    • チームと話し合うとき、内容(何が問題か)とプロセス(どう対処すべきか)を結びつける必要がある
  • 解決策を見つけるのはチームの仕事
    • マネージャーは辛抱強さが求められる。ただし、その忍耐がきっと報われる
  • チームは問題を解決できるが手助けが必要という前提で動く
    • サポートする動き方をすることでマネージャーが信頼を得る

仕事の成果(質と量の両面)は、チームメンバーが持つ

「チームメンバー全員で意思決定の責任を持つため、合意によって意思決定がなされる。」
合意と一般的にいうと、全員が意見を一致することと取りますが、本書によると反対意見がなくなるまですり合わせることとありました。要するに、反対ではないことが明確になればよく、あとは進める過程で認識が擦り合っていくのだろうと取りました。
そしてマネージャーがやっては行けない例も具体的に上がっていました。

  • チームに指示を出すこと
    • 自分たちで問題解決する場面を奪ってしまうため
    • マネージャーがチームを無能と思っていることを露呈するから

ルールではなく、フレームワークをつくる

「ルールとフレームワークの違いは、ルールは管理的な視点から生まれ、厳格に定量化される。フレームワークは実際の業務内容に基づき、個人の解釈の余地がある。」
一般的に個人の解釈の余地があることは悪いことであると受け取られます。しかし、柔軟性を持たせることが個々の考える力を養い、主体的な動きにつながると理解しました。さらに余白があることで、空白を埋めるための対話が増え、結果的にコンテクストが共有されていくんだろうなと思いました。


そして最後に第9章「対立に対処する」で引用されていた言葉です。

平和とは対立の不在ではなく、
平和的な手段で対立に対処できる能力のことだ。ーロナルド・レーガン

まさにおっしゃるとおり。このようなコミュニケーションをとるために、本書の途中にあった「妥協または譲歩する心構えができていること」も大事なことだなと噛み締めました。