前回のブログから1年以上の期間が空きました。これだけの時間、自分がアウトプットしてこなかったということにびっくりしています。直近は走り続けてきましたが、自分を振り返る時間を意図的にとるためにも、もう一度ブログを書こうと思い立ちました。今日は、最近読んだ本『予測不能の時代』からの学びを共有します。
幸せとはなにか
著者は
幸せを感じる手段は人それぞれ異なるが、幸せを現す生化学現象は人類共通である
と言います。
確かに何で幸せを感じるかは人それぞれ異なりますよね。僕も好きな野球を見て、大好きな阪神が勝ったときには最高に幸せな気分になります。ただし、このような一過性の幸せよりも努力により変えられる幸せが大事とも著者は言っています。幸せには時間軸により3つの種類があります。
- 遺伝や幼児体験に影響を受ける幸せ(変えにくい幸せ)
- 外部から一方的に与えられる環境変化(変わりやすい幸せ)
- 例:宝くじがあたったり、ボーナスをもらったり
- 努力や学習により変わる幸せ(スキルにより身につけられる幸せ)
この中で3つ目の幸せを高めることが大事ということです。
幸せの測り方
では、幸せをどうやって調べるのでしょうか? 従来の計測方法は、アンケートによる主観的な回答でした。一方で、幸せは無意識から生まれる行動のパターンで計測可能といいます。ウェアラブルデバイスにより、人体の動きは計測可能になりました。我々は9割以上を無意識に行動すると言われています。無意識に現れる幸せの動きは、マウスでも同様のパターンを確認できるとのことです。幸せは客観的に測ることができるのですね。
幸せへの2つの視点
幸せになるために2つの大切な視点があります。「個人の幸せ」と「集団との関係性による幸せ」です。
個人の幸せを高めるには4つの大事なことがあります。
- ホープ(Hope):自らの進む道を見つける力
- エフィカシー(Efficacy):現実を受け止めて行動する力
- レジリエンス(Resilience):困難に立ち向かう力
- オプティミズム(Optimism):前向きな物語を生み出す力
これらを心の「資本」と呼びます。「資本」ですので、ストックできるものです。頭文字をとってHELOと覚えると良いとのことです。
同じく、集団との関係性から生まれる幸せにも大事なことが4つあります。
- フラット(Flat):均等。人と人とのつながりが特定の人に偏らず均等である
- インプロバイズド(Improvised):即興的。5分から10分の短い会話が高頻度で行われる
- ノンバーバル(Non-Verbal):非言語的。会話中に身体が同調して動く
- イコール(Equal):平等。発言権が平等である
このような関係性を持った組織が幸せなチームとのことです。頭文字を撮ってFINEと覚えます。
HELOなマインドセットを自分で持ち、FINEな関係をチームで作ることで幸せが循環します。幸せは一人では生み出せないのです。人に幸せを届けることで、幸せな環境になり、その環境の一員である自分も幸せになります。幸せは行動から生まれるものであり、状態ではありません。
幸せになるための鍛錬方法
著者によると幸せはスキルで高められます。スキルを高めるのに役立つのが中国の古典『易(えき)』の考え方です。『易』では、予測不能な変化に対する向き合い方をまとめたものです。 64分類にまとめられた変化に対する視点は、個人と集団、内面(表に見えない)と外面(表に見える)の4象限に分けて細分化されています。詳細は割愛しますが、4つの視点を俯瞰して捉えることが変化に立ち向かう上で重要とのことでした。変化に対して常に視野を広げて見ることで、どのような状況でも楽観的に物事を捉えられるようになります。
考えたこと
幸せとはなにかから始まり、幸せになるために必要な個人と集団の関係、鍛錬の仕方までギュッと詰まった一冊でした。最初から最後までわかりやすかったのですが、易の考え方が出てきたところで1点不思議に思いました。
幸せには個と集団の関係性が大事であることは理解できました。一方で、なぜ内面と外面の話がでてきたのか。個人と集団、内面と外面の4象限で整理すると変化に対する向き合い方はこのように整理されます。
- | 内面 | 外面 |
---|---|---|
個人 | 覚醒する | 成長する |
集団 | 尊敬する | 共鳴する |
これはインテグラル理論のフレームワークです。なぜ、著者はこの整理に行き着いたのか。『易』がこの4象限で捉えていたのか。『易』を学んでみたいなと思いました。