組織を極める

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TMIセミナー「改正会社法及び会社法施行規則への実務対応」へ行ってきました

久しぶりの更新になります。本日はTMI総合法律事務所さんの「改正会社法及び会社法施行規則への実務対応」セミナーに行ってきました。講師は葉玉匡美先生です。スーツの方が95%を締める中、かなり浮いた存在ではありました…
内容は大変勉強になる項目ばかりでしたが、私の頭のキャパシティがついていかずに一部のみをまとめさせて頂きます。

監査等委員会設置会社

今回の改正会社法の目玉でもある監査等委員会設置会社のお話からスタートしました。独立社外取締役が1名の場合、コーポレート・ガバナンスコードによると2名以上いない理由を説明をしなければなりません。その説明の困難性を考えると機関設計を変えるという荒業もありますが、内部管理体制の原則から考えると本末転倒ですね。葉玉先生は監査等委員会設置会社への移行についてそれほどネガティブなお話がありませんでしたが、他の先生からは少し気をつけたほうが良いという意見もあるようです。いずれにせよ、ガバナンスの強化の本筋から考えて判断をする必要がありそうです。

監査等委員会設置会社について

  • 監査等委員会の中身は、過半数の社外取締役が必要。4人の場合は3人以上が必要になる。
  • 常勤は不要だが、常勤の有無を事業報告に記述する必要がある。
  • 監査等の「等」はざっくり言うと監督のこと。
  • 株主総会に置ける意見陳述件がある。ただし、意見は言えるが、決裁権はない。
  • 利益相反取引について、委員会が事前承認した場合には、任務懈怠の推定が適用されない。

監査等委員会設置会社における取締役会

  • 取締役会での決議事項を絞ることができり、執行担当取締役に大幅に権限移譲が出来る。ただし、定款で業務執行を委任することが出来る旨を定めた場合。

取締役の選任と独立社外取締役

取締役の選任に関して、報酬や選定理由を明確にする必要がありますが、明文化するのはなかなか難しいものです。ついつい他社事例や印刷会社さんの事例を参考にしがちでですが、本筋は会社としての方針を整理する必要があります。多様性に関するお話も難しいと思いましたが、さらに、独立取締役となりますと別のハードルも上がりますので、候補者の選任も難しくなりますね…

取締役・執行役員の選任等に関するコード

「取締役会」は、モニタリングボードである。また、報酬と役員人事の基準に関する開示は必須となる。具体的な決定事項は以下のとおり。

  • 経営陣幹部・取締役の報酬を決定するにあたっての方針と手続き
  • 経営陣幹部の選任・解任と取締役・監査役候補の氏名を行うにあたっての方針と公正かつ透明性の高い手続き
  • 取締役が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行う際の個々の選任・指名についての説明

*1

独立社外取締役に関してやるべきこと

全ての上場会社で必要なことは、「独立性の判断基準を策定・公表すること」。また、独立取締役の構成に応じて、以下のとおりパターンが異なる。

  • 独立取締役が取締役の過半数に達しないが複数いる場合
    • 独立社外者のみの定期的会合等の情報交換
    • 筆頭独立社外取締役の選任
    • 指名・報酬等について独立社外取締役が関与する諮問委員会を設置
  • 独立社外取締役が1人である場合
    • 独立社外取締役が2名以上いないことの説明・開示
    • 指名・報酬等について独立社外取締役が関与する諮問委員会を設置
  • 独立社外取締役がいない場合
    • 社外取締役を置こうことが相当でない理由の説明・開示
    • (独立社外取締役が2名以上いないことの説明・開示)

*2

まとめ

本当はもっと盛りだくさんの内容で、株主総会や内部統制についてのお話もありました。また、グループ内取引に関するお話もあったのですが、現状の自分には影響がないので割愛させて頂きます。
また、責任限定契約が社外役員に制限されなくなったこと等、実務的な対応が必要な改正もありましたので、今一度勉強をする必要がありそうです。
なお、本日の講演内容をまとめた葉玉先生のDVDも発売されるとのことですので、ご興味のある方はご購入してみてはいかがでしょうか。お値段3万円とのことです。

このブログは、実務を通じて個人的に学んだ現時点の見解であり、正確性および完全性について保証せず、また責任を負いません。記載内容につきましては、専門家等の意見をもとに自己責任でのご判断をお願いします。
見識の違い等、お気づきの点がありましたら、フィードバック頂ければ幸いです。

*1:セミナー資料より引用

*2:セミナー資料より引用