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退職時の健保は任意継続すべきか、国保に入るべきか

次の就職先が決まっている場合は、転職先の健保に入ることになりますが、フリーランスになる場合や転職先が決まっていない場合は「現職の健保を任意継続するか」「国民健康保険」に入るかという選択を迫られます。メリット・デメリットを調べてみましたので、参考になれば幸いです。

任意継続とは

退職時に現在の会社で入っている健康保険組合を最長2年に渡り継続できる制度です。詳細は各健保組合のホームページをご確認ください。

任意継続のメリット

  • 収入の多い人にとっては、保険料を抑えることができる。
    • これまでは会社が半分を負担してくれていましたが、全額自己負担となるため保険料は2倍となります。しかしながら、任意継続の標準報酬月額は上限が定められており、全被保険者の標準報酬月額を平均した額となります。(健康保険法第四十七条)
    • 組合によって上限額は変わるのですが、当社の健保組合の場合、37,440円でした。
  • 扶養家族がいる人にとっては、何人いても保険料が変わらない。
    • 国保は被扶養者の人数によって保険料が変わり、被扶養者が増えるごとに保険料も上がります。各市区町村によって計算料率は異なりますので一概には言えませんが、扶養家族が多い人にとっては任意継続がお得かもしれません。また、市区町村によっては、ホームページに算出シートがあるようです。

任意継続のデメリット

  • 原則2年間は止めることが出来ない。
    • 国保に切り替えるから」、あるいは、「旦那さん(奥さん)の扶養に入るから」、という理由で脱退することは出来ません。再就職後に被保険者となる場合や被保険者となった日より起算して2年を経過したときまでは止めることが出来ません。
  • 傷病手当金、出産手当金は支給されない。
    • 任意継続に切り替える前から支給要件を満たしている場合を別として、任意継続期間中は新たに傷病手当金、出産手当金を受給することはできません。(健康保険法第百二条、第百四条(第九十九条))

まとめ

結論としては、その人の置かれている状況によるということですね。比較的収入が多く扶養家族が多い人であれば、任意継続を選択したほうがメリットがありそうですし、独身の方で結婚が間近の方(旦那さんもしくは奥さんの扶養に入る前提)であれば、国保の方が良さそうです。いずれにせよ国保の保険料を調べた上で、選択されるのが良いかと思います。

参考

(任意継続被保険者の標準報酬月額)
第四十七条  任意継続被保険者の標準報酬月額については、第四十一条から第四十四条までの規定にかかわらず、次の各号に掲げる額のうちいずれか少ない額をもって、その者の標準報酬月額とする。
一  当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額
二  前年(一月から三月までの標準報酬月額については、前々年)の九月三十日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の標準報酬月額を平均した額(健康保険組合が当該平均した額の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額)を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額

傷病手当金
第九十九条  被保険者(任意継続被保険者を除く。第百二条において同じ。)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して三日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金として、一日につき、標準報酬日額(標準報酬月額の三十分の一に相当する額(その額に、五円未満の端数があるときはこれを切り捨てるものとし、五円以上十円未満の端数があるときはこれを十円に切り上げるものとする。)をいう。第百二条において同じ。)の三分の二に相当する金額(その金額に、五十銭未満の端数があるときはこれを切り捨てるものとし、五十銭以上一円未満の端数があるときはこれを一円に切り上げるものとする。)を支給する。
2  傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して一年六月を超えないものとする。

(出産手当金)
第百二条  被保険者が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前四十二日(多胎妊娠の場合においては、九十八日)から出産の日後五十六日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金として、一日につき、標準報酬日額の三分の二に相当する金額(その金額に、五十銭未満の端数があるときはこれを切り捨てるものとし、五十銭以上一円未満の端数があるときはこれを一円に切り上げるものとする。)を支給する。

傷病手当金又は出産手当金の継続給付)
第百四条  被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き一年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者(第百六条において「一年以上被保険者であった者」という。)であって、その資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる。

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