組織を極める

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働き方の違いと時間外手当の関係

久しぶりに激しく風邪を引いてしまい、ブログを書く気にも慣れずに1週間が過ぎ去ってしまいました。(といいながら、もうひとつのブログは更新したのですが…)
前回のエントリーは、高校時代の友人から役にたったとのコメントを貰ったので、嬉しかったですね。身近に読者がいると張り合いが出るというものです。今回も頑張って書きたいと思います。


さて、みなさんはご自身がどのような勤務形態なのかを意識して働いていますでしょうか。働き方が違えば裁量も異なりますし、時間外手当の計算方法も変わります。今回は一般(時間管理)、裁量労働、管理監督者の3つの勤務形態を取り上げ、その違いを説明します。

一般(時間管理)

一般とは、文字通り多くの方が該当する働き方です。今回のエントリーでは便宜上「時間管理」という呼び方とさせて頂きます。
私達は日常生活において、アルバイト、契約社員、正社員という分類をすることが多いですが、労働基準法ではそのような分類はありません。時間管理なのか、裁量労働なのか、管理監督者なのか、また、期間の定めがあるのか、ないのか、また、時給か、月給かという分類になります。いわゆる正社員の多くは、時間管理かつ、期間の定めのない働き方かつ、月給制となります。
時間管理の特徴は、勤務時間に応じて給与や時間外の手当が支給されるということです。前回のエントリーで、労働基準法では法定労働時間を超えた場合は、25%の割増賃金が発生し、それが深夜になればさらに25%の割増賃金が発生するとお話しました。法定休日であれば、35%の割増賃金でしたね。時間管理の働き方は、これらの時間外手当が厳格に支給されるのです。

裁量労働

裁量労働とは、業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある場合の働き方です。業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に具体的な指示をしない業務、すなわちエンジニアやデザイナー等、時間と成果が直接結びつかない職種に適用されます。
裁量労働における勤務時間の考え方は、労働組合または労働者代表と使用者で予め労使協定を締結し、労使が合意した時間働いたとみなしますみなすというのは法律用語でして、「そうでなくてもそうする」という意味です。例えば、労使協定で1日の労働時間を8時間と合意した場合、仮に1分でも働くとその日は8時間働いたことになります。逆に12時間働いても8時間働いたことになるのです。調子が悪ければ早く帰っても良いですし、乗って来た場合は、遅くまで働いても良いということです。
ただ、休憩時間や深夜、休日に関する規定は適用されます。深夜や法定休日の割増率は時間管理と同様です。

管理監督者

管理監督者とは、一般的には、部長、工場長等、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意味で、実態に即して判断します。判断のポイントは以下の3つです。

  • 「職務内容、責任と権限」について
  • 「勤務態様」について
  • 「賃金等の待遇」について

採用や評価等の人事権を持っていたり、裁量労働以上に裁量権を持って働いていること等がポイントになります。管理監督者になると、労働時間、休憩、休日に関する規定が適用されません。すなわち、法定休日に働いても、休憩を取らなくても、時間外の手当は支給されないのです。労働時間等の規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有しているためと解釈されます。

まとめ

働き方と割増賃金の関係をまとめると以下のようになります。

- 時間管理 裁量労働 管理監督者
時間外 25%割増 25%割増(法定外休日) 時間外という考え方は無し
深夜 25%割増 25%割増 25%割増
法定休日 35%割増 35%割増 休日という考え方は無し

知識労働者が多い職場で時間管理を取り入れると、生産性の低い人が遅くまで時間を掛けることで多くの割増賃金を受け取るという問題が発生します。一方、裁量労働に移行すると、残業時間が増えることによる健康管理の問題が発生します。

我々のような管理部門は、組織や個人の成熟度に合わせて適切な人事制度を設計することに努めなければいけませんが、前段として正しい法律知識を学ぶことが必要かと考えます。社員のみんなが元気に働いてくれるような制度運用ができるように心がけたいと思います。

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