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労働基準法における休日や労働時間の考え方

先日の新聞で、裁量労働制の適用範囲を拡大するとの記事がありました。一時期盛り上がったホワイトカラー・エグゼンプションもすっかりトーンダウンしていましたが、知識労働者が増えた昨今においては、時間的制約を緩やかにし、成果にフォーカスを当てる改善は賛成です。
一方で、組織や労働者自身が未成熟な状態において制度だけが先行したとしても、労使双方に良い結果にはならないと考えます。権限と責任は切り離せないものですので、労働者としての自由を得るためには責任も果たす必要があるということですね。

今日は、労働基準法における休日や労働時間が一般常識的に捉える休日等とは考え方が違っておりわかりづらい部分があるため、そのあたりのお話をまとめます。

休日とは

労働基準法では、土曜日や日曜日が休日というわけではありません。1週1休の週休制が原則とされており、就業規則において休日を定めます。休日は、日曜日ではなくても構いませんが、一般的には日曜日とすることが多いでしょう。労働基準法では少なくとも週に1回の休日を義務付けておりますので、1週間に1回の休日を与えれば違反とは言えません。
仮に日曜日を休日と定めた場合、土曜日や祭日は休日ではありません。これを区分するために日曜日を法定休日、土曜日や祭日を所定休日法定外休日と呼びます。所定休日の労働は労働基準法上では、休日労働ではなく、時間外労働の位置づけとなります。

労働時間とは

労働基準法の第32条において「休憩時間を除き、1週間について40時間を超えて労働させてはならない」「1週間の各日については、休憩時間を除き8時間を超えて労働させてはならない」とあります。(これを超えて労働をするためには36協定の締結が必要になります。)この1週間の各日について8時間、1週間について40時間の定めを法定労働時間と言います。
一方で、会社の就業規則で定める労働時間を所定労働時間と言います。例えば朝9時から午後5時までを所定労働時間として定めている場合、所定労働時間は7時間となります。

時間外労働とは

法定労働時間を超える労働のことを言います。よって、上記の例の場合、仮に1時間残業をし午後6時まで働いたとしても、法定労働時間である8時間の範囲ですので、時間外労働に対する割増賃金を支払う必要はありません。時間外労働は、時給に25%の割増率を掛けあわせた額となるわけではなく、法定労働時間を超えた分に関して発生します。

深夜労働とは

労働基準法では、22時~5時までの労働のことを言います。深夜労働の場合は、1分でも労働を行うと25%の割増支給が必要になります。勘違いしやすいポイントとして、平日深夜の労働時間は50%の割増率と捉えている人がいますが、それは間違いです。仮に18時に出社し、23時まで働いたとすると、1日の労働としては5時間となり法定労働時間である8時間を下回っていますので、時間外労働に対する割増はありません。22時から23時までの深夜労働に対しては25%の割増となります。

休日労働とは

労働基準法における休日に働く労働を休日労働といいます。休日労働には35%の割増率で賃金が支払われます。また、予め定められた休日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすることができます。これを休日の振替と言います。
休日に出勤し、事後に平日のお休みを取ることを一般的に代休と言いますが、労働基準法においては代休という考え方はありません。


以上簡単ですが、休日や労働時間の考え方についてまとめました。次回は管理監督者裁量労働制といった働き方の違いと賃金の関係についてまとめてみたいと思います。

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