組織を極める

組織や人に関することが好きなので情報発信します

正社員→個人事業主→ひとり法人を経たメリットとデメリット

タニタさんが正社員から個人事業主への契約転換を推奨する記事がありました。
www.nikkei.com

この記事を読んだときに、まさに僕のことではないか!と思ったので、実際に正社員から個人事業主になり、その後法人設立に至った経緯を振り返ります。今後、このような働き方を検討されている方の参考になれば幸いです。

正社員から個人事業主になったメリット

僕の場合はハーフランス制度ということでスタートしました。簡単に言いますと正社員時代と変わらず組織に対する期待役割(成果)をコミットしつつ、働き方を雇用契約から業務委託契約(準委任契約)に変えるということです。ちなみに報酬は正社員時の給与☓1.15です。その理由は、個人事業主になることで社会保険料の負担が増えるのを実費として上乗せしたからです。
このような感じでスタートした個人事業主としての働き方ですが、正社員のときと比べると、次のようなメリットがあります。

  • 時間の使い方の裁量が増える
    • 残業したら割増賃金が発生する、や、日曜日(法定休日)は働いてはいけないなどの制約がなくなる
  • 自分の可能性を試す機会が増える
    • 一個人に対して、他社さんから組織支援の依頼があり、実際に支援ができている

オズビジョンでは自律型勤務制度という月に1分でも働くと給与が満額支給される制度があるのですが、それに比べても一層裁量が委ねられました。一方でデメリットもありましたので、合わせて共有です。

正社員から個人事業主になったデメリット

  • 税負担が想定外!
    • 個人事業税が発生し、可処分所得はマイナスになったかも(ちゃんと検証していませんが…)

メリット・デメリットありますが、総じて個人的にはプラスだったと思います。一番大きいのは自分の可能性を試す機会が広がり、一つの組織の枠を超えたチャレンジができたことです。具体的には他社のチームビルディングのファシリテーションや、経営者に対するコーチング、大学の授業のアシスタントなどなど、自社だけではできない体験を通じて学びを深めることができました。

これは自組織にもメリットがあります。例えば、ファシリテーション機会が増えスキルが高まると、自組織での実践にも応用できるからです。僕の場合はさらに個人事業主から法人成りをしたのですが、そのメリット・デメリットもまとめますね。

個人事業主から法人設立したメリット

個人事業主から法人設立したデメリット

  • 登記やら銀行口座開設やらが面倒くさい
    • 僕の場合は管理部門を担当していたのでまだ知識がありましたが、初めての人にはちんぷんかんぷんかも
  • お金の管理が厳格になる
    • 会社のお金と個人のお金が明確に分かれるので、ちょっと手取りを増やしたいとかできない

法人成りしてまだ4か月程度なので、ここから新たな気づきがあるかもしれませんが、実体験としては個人事業主になるのであれば一気に法人設立して良いのではないかと考えています。最初はちょっと面倒くさいかもしれませんが、自分の会社を持つことで仕事に対する意識も高まりますので。

さいごに

これからはますます個の時代になると思います。個人的には所有と経営の分離から所有と経営の統合の時代へと変化すると捉えています。一人ひとりが個性と能力を発揮し、自分の価値提供できるフィールドが探しやすくなれば、もっと良い世の中になるのになと考えています。

時間や場所を選ばない働き方ができるインフラは整っています。みんなでもっとチャレンジしてワクワクした世界を実現していきたいですね。

自分や他人の「良いところ」と「もっと良くなるところ」に気づくワークショップの話

相変わらず超久しぶりにブログを書きます。今日はハロウィンでした。
僕も渋谷のハロウィンにちょこっとだけ参戦しフラッシュモブをしてきました。うんちマンと一緒に渋谷のゴミ拾いをしながらの1時間。笑顔にあふれるとても気持ち良いハロウィン体験でした。
www.unchiman.net

さてさてそろそろ本題ですが、今日は社内でワークショップを行いました。目的は「個性と能力を発揮しやすくする」ことです。なぜ個性と能力の発揮が大事かというと、人には誰しもその人が持っている資質やそこから発揮される強みがあります。自分の能力の中核となる良いところや、もっと良くなるところに気づくことでパフォーマンスが最大化すると考えているからです。

では、どうやったら、パワーの源泉となる良いところや、もっと良くなるところに気づくことができるかですが、パワフルなフレームワークジョハリの窓 - Wikipediaがあります。Wikipediaでは、「コミュニケーションにおける自己の公開とコミュニケーションの円滑な進め方を考えるために提案された考え方。」とありますが、ぼくはちょっと違った視点で捉えました。

ジョハリの窓は発達を促すフレームワークでもある

ジョハリの窓をご存じない方もいると思いますが、ジョハリの窓とは「自分が知っている / 知らない」「他人が知っている / 知らない」を4つの象限にわけて考えます。

  • 自分が知っている、かつ、他人が知っている:公開の窓
  • 自分が知っている、かつ、他人が知らない:秘密の窓
  • 自分が知らない、かつ、他人が知っている:盲点の窓
  • 自分が知らない、かつ、他人が知らない:未知の窓

では、なぜジョハリの窓が発達を促すかですが、結論から言うと、自己認識力が高まるからです。この点をもう少し説明します。

発達するとは無意識が意識化すること(と僕は考えている)

人間性が発達するとは、無意識的に行っていたことを意識できるようになることと捉えています。例えば、自分が気づいていなかったことを捉えることができるようになることです。そのためには、まずは自分自身を認識する力を高めることからだと考えています。
ジョハリの窓では、自己開示をすることで秘密の窓が小さくなり、他者からのフィードバックを受けることで盲点の窓が小さくなると説明します。すなわち自己開示とフィードバックが公開の窓を広げます。公開の窓が広がるとは、未知の窓が小さくなることで、結果的に自己認識力が高まります。すなわち発達することにつながるのです。

僕の場合はどうだったか

実際に同じチームの仲間からフィードバックしてもらった結果がこちらです。

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まつださんのジョハリの窓

左側の象限(自分が知っている)は予め記入しましたが、右側の象限(自分が知らない)を追記してもらいました。チェックは「これ知っているよ」にマークしたものです。ワークショップを終えての気づきは3点ありました。

  • 自分でもわかっているが、言われるとそうそうと思うことがあった。
    • 「がんこである」とか。
    • 「まずは計画する。その後丸投げ感ある」とか。
  • 「ゴールの作り方はうまいが、ゴールをたくさん作ってしまう」というフィードバックからやりたいことがたくさんあることが判明。それを受けて2つのアクションに落とし込む。
    • フォーカスすることを意識します。
    • ゴールから実行計画に落とすときにもう一段階ブレークダウンします。
  • 「あえて空気を読まない」という指摘があったが、本当に「あえて」なのか!?
    • 自分でも認識しているが、「あえて」ではなく「素」な気がする

まとめ

ということで、良いところやもっと良くなるところに気づくワークショップの話でした。終わったあとにみんなで話したのですが、まだ自己開示が進んでいないチーム(例えば入社直後のメンバーがいるなど)でも有効と思います。(なぜなら、相互理解が進むため)
7人でも1時間30分あればできる投資対効果の高いワークショップですのでぜひみなさんもお試しください!

【参考】ワークショップの流れ

  1. 事前にシートを配布し、「自分が知っていること」(左側の半分)と今回参加しない人から「自分が知らないけど他人が知っていること」を埋めてもらう。
    • 「強み」と「もっと良くなるところ」の2つの視点で。
  2. A3に印刷したシートを持ち寄り、一人3分で回し、盲点の窓にひとりずつフィードバックを記入する。
  3. 全員からのフィードバックが埋まったら、もう一周回して「これは同意」というコメントにチェックをする。
  4. フィードバックとチェックが終わったら、個人ワークに移り、「発見、気づき」を記入する。
  5. 「発見、気づき」が埋まったら、今後の改善アクションに落とし込む。

社内イベントは組織の活性化に有効なのか

2019年8月吉日、オズコレ 2019 Summer というファションショーが開催されました。中央にはレッドカーペットが敷き詰められ、パリコレを凌ぐかのような力強さを感じます。わたしたちオズビジョン社員は決して暇なわけではありませんが、このイベントにはかなりの熱量を注いできました。

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社内をファッションショー会場に装飾

ふと我に返った瞬間「なぜ、わたしたちは忙しい中でも社内でファッションショーを行ったのか」という問いが降りてきましたので、一連のプロセスを振り返りたいと思います。

ファッションショーの目的

オズコレ 2019 Summerは、以下のPS-Fit(Problem/Solution Fit)仮説に基づき、直感と科学的根拠を織り交ぜながら実施が決定しました。

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社内の現状をJOB理論のフレームワークで整理

中途入社が増え、新しい人のことがよくわからないという状況に対し、部門を超えた交流をすることで、関係性の質を高めたいというニーズがあったのです。職種や部門を超えた同僚との一体感を提供価値とするソリューションとして、夏祭りコスプレ(通称オズコレ)を実施する意思決定をしました。

始まりは目標設定から

オズコレはただのファッションショーではありません。やるからには目標設定をしました。業務で慣れ親しんだOKR(Objectives、 Key Results)を使いました。

Objectives:職種や部門を超えた同僚との一体感

  • Key Result1:オズコレへの参加に二の足を踏んでいる人に薦めたいと思うNPSが50
  • Key Result2:今まで一度も話したことがなかった人と5人以上話す
  • Key Result3:直近1か月で話してなかった人と5人以上話す

※ NPSとは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略

当日の様子

写真をご覧ください。

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エレガントな着こなしでパリコレを彷彿させるようにランウェイをGo

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全員でゲゲゲの鬼太郎(一人はリモートで鼠小僧に!)

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ブルゾンともみwithレインボーマンクレドをもう体現できてるなんて思ってない?」

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イケメンが浴衣姿を決めながら秀逸なキャッチコピーの決めセリフ

日々の業務が忙しい中、たくさんの社員が積極的に参加してくれて、大変盛り上がりました。

実施後の振り返り

ショーの終了後には、運営を行った事業推進部のメンバーで振り返りを行いました。KPT(Keep、Problem、Try)で振り返った結果、以下のProblemが出されました。

・なんか異常に疲れた
 ┗パツパツ感
 ┗当日のバタバタ
 ┗企画者と自チームリーダーの2足のわらじ
・出社ができず戦力にならなかった
・オペレーションの詰めが甘い
 ┗音響、映像、どこまで標準設備があるのか。使う機材がバラバラだったため機材トラブルがあった。
 ┗実際の人の動き(着替え、登場、終わったあと)のシミュレーション
 ┗リモートメンバーの見え方
・時間不足
 ┗人数が増えてきたので、全員参加型の場合は2時間必要かも…
・事推メンバーの名前を使ったことで、自動的にリーダーになってしまった感
 ┗上記により、wkwk全体と自チームのWで準備する必要があった
・┗事推メンバー内で、準備負担の偏り発生
・諸々決まってからのアナウンスでよかったのではないか(そうなると日程をずらす選択肢もありだった?)
・リモートメンバーがBest~をとった際の対応決めてなかったよね…
・予算が足りず、足が出たチームが複数あり
 ┗チーム予算が若干少ない(5000円ぐらいがBEST?)
・自チームが待機している間や写真撮影をしている間は他チームのパフォーマンスが見れていない
・温度感がバラバラで全く協力しない人がいた
・個人的に結果発表を直接聞けないのが残念でした
・お盆前で参加者が少なかった
・食事をする暇がなかった
・一体感をあげるというのが、本当にこの施策なの?という声があった
 ┗トップダウン感強かった?
・リモートチームや社内資料としても、カメラ係が欲しい。映像を残す、写真をいい感じに残す文化の定着

※ 事推とは事業推進部のこと

このようにたくさんの課題が上がりました。そして課題を踏まえて以下のような議論が起こりました。

まずはじめに「そもそもこのような負荷の高い社内イベントは必要なのか」という問いです。この問いに対しては「負荷が高いことは本当に問題なのか」というさらにもう一段階深掘った問いが投げられました。一見すると業務に全く寄与しない社内イベントではあるが、このような取り組みを楽しむことができるかがオズビジョンの文化に影響を与えているのではないか。また、このような取り組みを通じて組織と個人の一体感を確認することが組織文化の発展につながるのではないか、と議論が続きました。

事業推進メンバー内でも賛否両論、侃々諤々の議論となりましたが、この問いには答えが出ませんでした。ただ僕個人の意見としては、この議論すらも健全な組織文化を発展させていくために必要なことであり、またもう一つオズビジョンらしい文化の濃さにつながったのでないかと確信しています。とはいえ、スケジュール管理が甘く、オペレーションが詰めきれなかったのは僕の問題ですので、この場を借りてお詫びいたします。

そして、オズビジョンでは一緒に働くメンバーを募集しています!
社内イベントも目的意識を持って全力で取り組むオズビジョンに興味がある方は、お気軽にご連絡ください!
www.wantedly.com

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フィナーレの集合写真!

理想の組織のゴールイメージと契約形態・発達段階の話

前回は個人の働き方のゴールイメージについてまとめましたが、拡張して組織のゴールイメージを描いてみました。
結論から言うと、正社員だけの組織は成立しなくなると考えています。これは派遣社員を雇用することで人件費を変動費化するというようなレベルのことを言っているのではありません。社会システムの変化を前提とすると、正社員だけの能力で事業継続するのは難しいという話です。以下にざっと書きます。

組織のゴールイメージ

  • 前提1: 既存事業と新規事業が併存する組織
  • 前提2: 戦略パレットの4象限のうち、不確実性の高い2象限に該当する

一般的に既存事業は市場成長率が逓減し、キャッシュフローを安定的に稼ぐことが求められます。その場合、採るべき戦略はクラシカル戦略です。クラシカル戦略に求められる戦い方は「持続可能な競争優位」です。組織において大切なことは理念や自己実現できる環境になります。戦略の意思決定はトップダウンで資源をフォーカスします。

新規事業はすばやく適応し続けるアダプティブ戦略です。試行錯誤を繰り返し、フラット&アクティブなリーダーシップスタイルが適しています。継続的な実験を繰り返し、早く失敗する能力が大切です。

このような2つの戦略を両利きで遂行する組織ってどうなるのだろうかを考えました。結果、組織で働く人の役割は「経営係」「試行錯誤型イノベーション係」「累積的イノベーション係」の3つに分類されました。「係」としたのは、なんとなくその方がマイルド感が出るためです。経営は偉いわけでもないので得意分野の違いだけだよということをアピールするためにそれぞれに「係」をつけましたた。

経営係

経営係は文字通り経営する人です。中長期の全社方針や事業ドメインの選択、全社戦略や組織戦略など、数年単位に影響を及ぼす意思決定を行います。

試行錯誤型イノベーション

新規事業を担当する人を想定しています。日々の業務で継続的に実験が求められ、自律した人材によるセルフマネジメントが必要です。正解が何かわからない中で仮説検証をぐるぐる繰り返し、3歩進んで2歩下がるような仕事の進め方です。

累積的イノベーション

既存事業を担当する人を想定しています。オペレーション業務*1を最適化するため、常に改善・改良を行い続けます。業務は専門化し、細分化されます。任された範囲は権限委譲を進めることでモチベーションUPにつながります。

役割ごとの雇用形態と発達段階

ここからが本題ですが、係ごとの雇用形態と発達段階*2を定義するとしっくりと整理できました。

経営係

経営係の雇用形態は、取締役(雇用契約ではありませんが…) or 業務委託が良いと思います。発達段階はティール以上の方がフィットする役割です。そもそもティールの発達段階にある人は会社組織で働くことが適しておらず、制約が苦手です。したがってすでに正社員で働いていない可能性が高くなります。そして、かなりの権限と裁量が委譲された状態ではないと力が発揮できません。
会社の視点では、権限委譲を進めすぎると好き勝手にされるリスクがあります。実力が伴わない場合は組織に壊滅的なダメージを与える可能性もあります。両者のニーズを考えると、いつでも双方から解約を申し入れることができる雇用形態が適していると考えます。

試行錯誤型イノベーション

試行錯誤型イノベーション係の雇用形態は、業務委託契約 or 期間の定めのある雇用契約です。発達段階はグリーン〜ティールの方がフィットします。自律が求められる働き方のため、発達段階が低い人には適していません。また、新規事業で何が起きるかわからないので自らの人生に自ら責任を負えるだけのマインド・スキルが必要です。
会社の視点では、新規事業は不確実性が高く、人件費を固定化したくありません。そうなると、変動費化できる契約形態のほうがリスクヘッジできます。

累積的イノベーション

累積的イノベーション係の雇用形態は、正社員です。発達段階は〜グリーンがフィットします。オペレーションの洗練が求められつつ、権限委譲を通じて自己実現を追求します。自分の人生ビジョンと、事業・組織のビジョンとのフィット感が大切です。
会社の視点では長期的にコミットし続けてもらうことで、組織能力が高まります。今の日本では雇用を安定化する正社員がフィットします。

まとめ

これまでの話をまとめると、以下のとおりです。

役割  対象領域 雇用形態 発達段階
経営 全社 取締役 or 業務委託 ティール以上
試行錯誤型イノベーション 新規事業 業務委託 or 期間の定めのある雇用契約 グリーン〜ティー
累積的イノベーション 既存事業 正社員 〜グリーン

正社員からフリーランスの流れが進むのは社会システムの変化の影響が大きいと考えていますが、試行錯誤型のイノベーションは正社員のみでは難しいと思います。ここまでの話は戦略で言うポジショニングの話でしたが、どう実現するか(ケイパビリティ)のほうが大切だと捉えています。多様な雇用形態の方が入り混じっても組織としての軸をぶらさないだけの組織開発力が超重要ということです。

もう少し練り上げてから続きを書きたいと思います。

*1:オペレーション業務はイノベーションと比べて軽視されがちですが、決してそんなことはありません!

*2:発達段階は高ければ良いと捉えられがちですが、単純に違うだけです。高ければ良いものではありません!

自己実現状態の働き方のゴールイメージ

またまた久しぶりのブログです。今日はずっと考えてきた「自己実現状態の働き方のゴールイメージ」がなんとなく見えてきたので備忘のためにわーっと書きます。

理想と現状のギャップ

Will(やりたいこと)、Can(できること)、Must(やらなければならないこと)のフレームワークで整理をすると、理想状態はWill、Can、Mustが限りなく一致することだと考えています。例えばこんな感じです。


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ただ、実際にはWillとCanにはギャップがありますし、Mustが大きくなることもあります。こんな感じです。


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この状態は組織にとっても働く人にとっても完全なハッピーとは言えないため、なんとかしてWill、Can、Mustが一致できないかなぁと考え続けてきました。そこでひらめいたのがMustの切り出しです。

どうやってMustを切り出すのか

仮にAさんが左側の図のような仕事をしていたとします。WillとCanが一致しているのが2割、8割はMustとCanの一致です。ここで将来のWillにつながるMustであれば頑張ろうとしますが、Willに遠いMustの場合はしんどい状況になります。

そこで、WillにマッチしないMustは他の人(例えばBさん)に依頼します。一般的に業務を委託する場合は報酬を支払いますが、業務そのものを交換する仕組みがあれば良いと思いました。イメージはこんな感じです。

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AさんとってはMustでしかないものが、BさんにとってはWill×Canになります。仕事そのものが悪いのではなく、その人の強み(Will×Can)と仕事のアサイン(Must)がマッチしていないことが本当の課題です。なので、仕事(Must)そのものを流動化する仕組みがあれば解決するのではないかと考えました。仕事と人の流動化が進むことで、よりMustとWill×Canの一致が促進されると考えます。最近フリーランスの方が増えているのは、まさにこの動きだと思います。


そうなったときの組織とは?

組織の立場から考えると、その人に担って欲しい期待役割(Must)があります。とはいえ、↑で書いたとおり、個人のWillと組織のMustを完全に一致させることは難しいです。では、どうするかですが、期待役割に対する応え方を個人に委ねればよいのではないでしょうか。要するに、このような関係性になります。


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  • 組織はMustとWill×Canができる限り一致する個人を採用するよう努める。
  • そうは言ってもはみ出たMustは社外も含めて他の人にお願いする。空いた余力で社外のWill×Can(他の組織にとってのMust)に取り組む

自分の感覚では7割〜8割ぐらいWillとMustが一致していればその組織に貢献し続けてくれると思います。

まとめ

これからは確実に個人の時代になります。組織としては、いかに優秀な人材に貢献し続けてもらえるかが事業継続の分かれ目になるのではないでしょうか。真の意味で自律した個人がワクワクして働くことできる環境を整備することがこれからの組織開発に求められることだと考えています。

どうすれば組織状態は良くなっちゃうのか

超久しぶりにブログを書きます。
いま、月に1回組織開発をテーマとした勉強会を行っているのですが、参加頂いた方よりこのブログを読んでいましたという言葉を頂きました。(なんと2名も!)
自分の情報発信が少しでも誰かのためになっているのであれば、細々とでも継続しなければなと思い、久しぶりに書こうと思ったのです。
今日は、どうすれば組織状態は良くなっちゃうのかというタイトルですが、オズビジョンでの2年間の経験をもとにまとめます。

組織状態が良くなるステップ

組織や人事の仕事をしている人にとって、どうすれば組織が良くなるのかは永遠のテーマです。僕もまだ答えを見いだせてはいませんが、チーム単位で組織状態が良くなる事例が2件ありました。2つのチームは同じようなプロセスを踏んだので、これは再現可能なメカニズムがあるかもしれません。
リンクアンドモチベーションサーベイ結果の推移も参考にしながら、「停滞期」→「良い兆しが見えつつある期」→「発展期」の3つのプロセスに分け、状態・課題・打ち手の3つの切り口で変化をみます。

停滞期

状態
  • リーダーとメンバーの関係性が高まっていない
    • 戦略や方針が伝達されていない
    • チーム内の役割責任が明確ではない
    • リーダーからメンバーへの支援行動ができていない
  • 退職が起こる、あるいは退職したいという話が出る
    • 行動指針や考え方の提示がされていない
    • リーダーがトラブル状況を把握できていない
課題
  • 自分たちだけではどうすればよいか、わからない
打ち手
  • (人事などの)第三者ファシリテーターにおいたチームビルディング(課題の可視化)
    • 何が今の課題かをチームメンバー全員で見つけ出し、改善アクションにつなげる
  • 採用/配置
    • チームをあるべき姿に導くリーダー、フォロワーを採用/配置する
  • オンボーディング
    • (採用した場合は)チームメンバーとの期待値をすり合わせる場をつくる

良い兆しが見えつつある期

状態
  • チームで話す機会が増える
    • リーダーがメンバーの意見を傾聴するようになる
    • 職場で笑いが出るようになる
  • 業務に対するコミットが高まり、仕事の話が増える(組織の話が減る)
    • 意思決定のスピードが上がる
課題
  • 健全な忙しさが続き、体力的にはしんどい(精神的には充実)
  • とはいえ、組織課題に対してチーム内だけでは意思決定しきれない
打ち手
  • チームビルディング(事業成長に向けた取り組み)
    • 事業成長や目標達成に向けた取り組みをチームで行うことで、関係性を高める
      • 組織改善の活動ではなく、事業を推進する活動を通じてチームの関係性を高める
  • 要望に応じた支援
    • 採用面接や組織マネジメントなどの支援を求められた場合にサポートする
      • 人事が余計なことはしない

発展期

状態
  • 自走状態となり、人事の知らないところで組織に対する取り組みが進む
    • 自部署の使命や目標が明示されている
    • メンバーの目標達成意欲が高まる
  • 組織課題の話がほぼ聞こえなくなる
    • 未来に向けた試みが始まる
    • 市場や競合を見据えた話が出る
課題
  • あるべき姿を基準にした高い成長をどう進めていくか
打ち手
  • 理想に向き直り、重要課題を特定し推進する
    • OKRの導入と運用
  • 権限を移譲し、自律自走を加速する
    • コントロールを手放し、学習経験(失敗から学ぶ機会)を増やす

まとめ

組織状態は良くするものではなく、良くなっちゃうものと考えています。人事が介入すればするほど、大きなお世話ですよね。ただ、状態によっては最初の蹴り出しは人事などの第三者が行ったほうが良いケースはあります。どこまで支援し、どこからコントロールを手放すか、その見極めが人事に求められることなのかなと考えています。

ICCサミットKYOTO2018での組織戦略の学び

9/3-5の3日間、ICCサミットKYOTO2018に参加してきました。僕はほぼほぼ組織系のセッションに参加をさせて頂いたのですが、メルカリさん、ラクスルさんなどの成長企業の組織戦略や、各社の採用方法の具体例など、今回も学びの濃い3日間となりました。特に自分のなかで印象に残ったことを3つ挙げます。

印象に残ったこと

  • 徹底的な一貫性
    • 理念・ビジョンとクレド、そこから戦略・制度、行動へと続く一貫性が文化を作る
  • 採用こそが最も大事
    • 採用をミスすると組織文化も簡単に崩壊するし、事業成長も起きない
  • 事業成長と組織文化の両立
    • OKRとクレド評価のように両者を発展させていくことがエクストリームチームにつながる

以上を踏まえて自分なりに「組織変革とは何か」について整理をしたのが以下の流れです。

組織変革のストーリー

  • 組織変革とは組織文化を変えることである
  • どのような組織文化を目指すかは、事業特性によって変わる
  • 組織文化を変えるときに、いきなり文化を変えようとしてはいけない
  • 組織文化につながる全てに一貫性が大事

具体的には次の図のとおりです。
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まず、組織文化を決める全体像をインテグラル理論で整理しました(左上の小さな図)。この4象限で考えるのが網羅性とわかりやすさで優れていると思います。
次に文化を変えるメカニズムを考えました。原則は右下象限から反時計回りに考えます。理念・ビジョンから始まる一貫性がぶれないしなやかな組織文化を作るために必要と結論づけました。

この一貫性を保つためには、個別の象限ごと、個別の項目ごとにアプローチが異なります。すべての項目ごとのアプローチを言語化できれば、自分が成したいと思っていた組織を発展するためのメカニズムが解明できそうです。ぼんやりと見えてきましたので、個別のアプローチについても少しずつ整理をしていきたいと思います。

まとめ

新しい会社に移って約1年半。試行錯誤しながらやってきた中で反省もありますが、手応えもあります。反省点は組織を変えようとしすぎて個別の打ち手に走りすぎたことです。ただこれはやってみてわかったことでもあり、当時の自分がまだまだ見えていなかったとわかりました。
いま進めようとしていることは間違っていないと思いますが、また半年後ぐらいに振り返りをしたいと思います。