組織を極める

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ディープラーニングから考える組織開発のあり方

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書) を読みました。

きっかけは「AlphaGo」のプロ棋士への勝利です。最近話題のディープラーニングの概要ぐらいは理解したいと思い、CTOのオススメの入門書ということで拝読しました。

ざっくりとした感想は、ディープラーニングの考え方は組織開発に通じる、ということです。私の頭が組織開発に凝り固まっているのが原因かもしれませんが、共感できる部分がたくさんありました。以下、本文を引用しながら考えをまとめたいと思います。

人工知能と組織開発の捉え方

人工知能研究者の多くは、知能を「構成論的」に解明するために研究をしている。構成論的というとちょっと難しいが、「つくることによって理解する」という意味である。それに対応する言葉は「分析的」である。
人工知能研究者が、知能を構成論的に理解したいと望んでいるのに対し、脳を研究する脳科学者は、分析的なアプローチで知能を解明しようとしている。

組織開発も「診断型組織開発」と「対話型組織開発」という手法があります。診断型組織開発は「実証主義」に基づき、対話型組織開発は「社会構成主義」に基づくものもあります。どちらが良い・悪いではありませんが、2つの同じような捉え方が人工知能にも組織開発にもあるのだ、ということが面白いですね。

また、人工知能においては、特徴量をどのように定めるかが大事であり、それを飛躍させたのがディープラーニングだと理解しました。特徴量を定める過程では得られた結果を概念化し、再帰的に抽象化することで「典型的な概念」を取り出すという説明がありました。概念化すれば、最後の意味付けは教師あり学習によりなされるとありました。

このプロセスは、組織開発にも応用できると思います。特徴量を定めるのはあくまでも組織の構成員ではありますが、適切な特徴量に導くのが人事の仕事ではないでしょうか。また、概念を正しく取り出し、その概念を組織として共通のものに浸透させることが、対話型組織開発そのものであると考えました。


対話型組織開発の効果測定

人間の社会がやっていることは、現実世界のものごとに特徴量や概念を捉える作業を、社会の中で生きる人達全員が、お互いにコミュニケーションをとることによって、共同して行っていると考えることもできる。
そして、そうして得た世界に関する本質的な抽象化をたくみに利用することによって、種としての人類が生き残る確率を上げている。

組織開発の効果測定ができないか、と考えていたのですが、ヒントを得ました。組織開発の効果は、共同の「概念化」の質によって測ることができるのではないか、という仮設です。概念化の質は、良い特徴量に依拠すると思いますが、ディープラーニングにおいて、良い特徴量をどのように判定しているのか、をもう少し調べたいと思いました。

また、頑健な概念はノイズを入れても揺るがない、という内容も非常に大きなヒントになりました。組織開発のリバースエンジニアリングのようですが、引き続きディープラーニングから学べることを考えてみたいと思います。コンピュータから人が学ぶなんて、なんだか面白いですね。


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