組織を極める

組織や人に関することが好きなので情報発信します

人事制度はどのように考えて設計するか

 転職して早くも1か月が経ちました。文字通り目まぐるしい日々を過ごしていましたが、新しい環境でとてもやりがいを感じています。いくつかの業務に取り組んでいますが、入社してすぐにアサインをされたのが人事制度を改定するプロジェクトです。改定はすでに途中まで進んでおりまして、4月からの新制度導入に向けて最後の詰めを行うフェーズでした。そのような中で考えたこと、学んだことを共有させていただきます。

人事制度とは何か

 もう数年前になると思いますが、リンクアンドモチベーションの小笹さんが講演でおっしゃっていたことを今でも覚えています。「人事制度は組織からのメッセージである」という言葉です。
 組織は自ら語ることはできませんので、何を目指すべきかは全メンバーで共通の認識をもつ必要があります。「何のためにこの組織で働いているのか」「何を成すためにここにいるのか」すなわちビジョンです。ビジョンの理解を深め、組織の向かうべき方向性を定め、実現に向けて成長速度を加速するツールが人事制度と捉えています。

人事制度を改定するときに何から考えるか

 答えから入ると「戦略」です。事業環境、競合、自社の強み・弱みを分析し、どう戦っていくかを定めるのが戦略です。戦略を遂行するために、組織と戦略は相互に深く関わる必要があります。戦略とはポジショニングとケイパビリティであり、組織のケイパビリティを高めるためのツールが人事制度です。すなわち、戦略が定まっていない中で人事制度を改定することは難しく、また、戦略が変われば組織も変わる必要があるために人事制度を改定する必要があるのです。

理想の人事制度とは

 こちらも答えから入ると「組織ごとに異なる」です。すべての組織に通用する理想の人事制度はありえません。同じ事業領域で戦う競合他社であったとしても組織ごとに採る戦略はまちまちであり、組織のケイパビリティも当然に異なります。したがって、自社を取り巻く事業環境と自社の強み(弱み)から戦略と連携する人事制度を設計する必要があります。
 人事制度は組織からのメッセージです。一緒に戦う仲間である社員のみなさんに正しく伝わるように慎重かつ大胆に定める必要があります。

そうはいっても共通する大事な考え方

 評価、報酬、等級の3つの視点で制度を設計することです。特に、評価は査定のためだけではなく、成長・育成に向けたフィードバックであることを強く意識する必要があります。合わせて、短期的な視点だけではなく中長期的なストーリーを意識して設計することが理想の制度に近づくと考えています。
 職務等級、職能資格、役割等級などの制度分類がありますが、本質は「戦略」と「組織」の相互連携であることを忘れなければ、良い制度が設計できると考えています。そして何よりも導入して終わるのではなく、運用が大事ですね。

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