組織を極める

組織や人に関することが好きなので情報発信します

異なる職種を公平に評価するには

さて、前回に続いて生産性つながりの読書感想文です。

人事評価の難しい課題の一つに「異なる職種をどうやって公平に評価するか」があります。元マッキンゼーの採用マネージャーである伊賀泰代さんが書かれた生産性の中にそのヒントがありましたので、考えてみます。

伊賀さんは、管理部門等の異なる職種(人事・総務・法務等)は、前年度の生産性と今年度の生産性の変化率で評価するという手法を上げていました。要するに、部門ごとに異なるKPIだとしても、生産性の変化率に換算することで比較可能だよね、ということです。例えば、新卒を10名採用するという成果(アウトプット)に対して投入した労力(インプット)をどれだけ減らしたかを前年度と比較することで、成長を測るということです。

なるほどなぁと思った一方で、これを実現するためには前提となる成立要件があると考えました。

全ての社員に生産性の伸びを求め続ける

最初、この考え方を見たときに、そうはいってはアウトプットの量の基準を揃える必要があるのではないかと考えました。新入社員とパートナーでは求められる成果の量が違うため、レベルごとの量の基準を統一する必要があると考えたのです。しかしながら、それは僕の考えが甘いのかなと思いました。

コンサルティング会社は、Up or Outの前提があるため、役員と言えども、成果が出ない場合は退職を求められるとありました。そこから気づいたことは、新入社員からパートナーになっても、生産性を同じ比率で上げ続けなければならないということか、と考えました。どれだけレベルが上っても毎年30%成長が求められ続けるのであれば、量の基準は必要なく、質の比較のみで成り立ちます。これってすごい制度だなと思いました。

そのために優秀な人材のみを採用する

毎年30%の成長を求められるのであれば、当然優秀な人を採用しなければなりません。そのためには採用が大事です。以前伊賀さんの講演を伺った際には、将来パートナーになりうる人を落とさないための採用を工夫しているという話がありました。優秀な人が全てのベースですので、確かにそこは力を入れるよなと合点がいきました。

それでも伸び悩む社員をトレーニングする

そうはいっても伸び悩む人もいるので、トレーニングする仕組みがあるということも本の中に書かれていました。伸び悩む人を切り捨てていては、どれだけ採用を頑張っても組織の成長に追いつかないためです。

まとめ

評価の方法の一部だけを切り取って自社に当てはめるのではなく、なぜそれができるのかを考えることは大切だと思いました。そして普通の会社ではこの仕組みは回らないだろうなとも思いました。人事制度全体として上手く回る仕組みが構築できないのであれば、職種を超えた比較を辞めるというのも一つの手だと思います。

自社の組織をしっかりと診断して、何が最適かを考えることは大事だと思いました。

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

このブログは、実務を通じて個人的に学んだ現時点の見解であり、正確性および完全性について保証せず、また責任を負いません。記載内容につきましては、専門家等の意見をもとに自己責任でのご判断をお願いします。
見識の違い等、お気づきの点がありましたら、フィードバック頂ければ幸いです。