組織を極める

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中小企業診断士 第2次試験に合格しました

2回目の2次試験で、中小企業診断士試験に合格することができました。今後、中小企業診断士を目指す方のために私がどのような勉強法で合格をしたのかをまとめたいと思います。特に2次試験は、勉強すればするほど深みにハマると聞きますので、少しでも診断士を志す人の助けになれば幸いです。

はじめに

今年は2次試験のための勉強をほとんどしませんでしたが、無事合格することができました。ただし勉強をせずに合格したのではなく、社会人大学院での学びを活かしたところ結果につながりました。2014年の12月、不合格の結果に少なからずショックを受けていましたが、試験勉強だけでは実務の力が全くついていないことも感じていました。そのような中、当時の日経新聞の書評で取り上げられていた経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)がきっかけになり、金沢工業大学虎ノ門大学院(通称K.I.T.)へ入学を決意しました。そして、K.I.T.での学びのおかげで試験に合格することができたと考えています。

金沢工業大学虎ノ門大学院(通称K.I.T.)について

私の通うK.I.T.は、超少人数制(1つの授業に多くても20人程度)というところが特徴です。先生との距離も近く、一人ひとりに濃い教育を与えて頂けます。そして、先生はみなさん超一流です。私の中では、日本で一番の先生に教えて頂いていると思っています。
授業も講義形式の授業はほとんどありません。ディスカッションを中心とした自ら学びを作り上げていくスタイルです。よって、やるもやらないも本人次第。真剣に取り組めば取り組むほど、得られる結果も大きいと感じています。
K.I.T.のさらに特徴的なことは、ビジネススクールにも関わらずゼミがあることです。ゼミはさらに少人数制で、私の所属する三谷ゼミには5名の学生がいます。毎週土曜日のゼミは本当に贅沢な時間で、各自が進める研究テーマに沿って三谷さんとゼミ生でディスカッションを行います。

重要思考とB3Cフレームワーク

K.I.T.の主任教授も務める三谷さんから入学後の最初の科目である「戦略思考要論」の集中講義で叩き込まれるのが重要思考とB3Cです。
重要思考は「重み」と「差」で考える論理思考です。問題を考えるとき、その「差」に注目しがちですが、それだけではなくそもそもの「重み」から考える思考法です。
B3Cは、三谷さんが生み出した独自のフレームワークです。3Cに足りない考えを追加し、土俵(Battle Circle)、競合(Competitor)、自社(Company)に対して、「事業そのものの魅力」と「事業特性」を組みあせて6つのボックスから考えるフレームワークです。詳細は戦略思考要論」のページをご参照ください。

前置きが長くなりましたが、大学院での学びの基本である重要思考とB3Cフレームワークを使ってどのように2次試験に取り組んだのかを事例1の第1問を使って振り返ります。

事例1の第1問での振り返り

第1問
ゲートボールやグラウンドゴルフなど、A社を支えてきたスポーツ用品事業の市場には、どのような特性があると考えられるか。100字以内で述べよ。

問題全文は中小企業診断士試験問題よりご確認ください。

考え方

この問題は「市場の特性」を問われていますので、B3Cで言えば左の枠を答えることになります。また、与件文を読むと以下の様な特徴があります。

  • バトミントン
    • 「いち早く流行の兆しをとらえた創業者が…」
    • 「創業者のもくろみどおりその市場は広がった。」
    • 台湾製や中国製の廉価なシャトルコックを輸入されることになると、A社の売上は激減した。」
    • 「木製ラケットが金属フレームに代替されたこともあって、A社の売上は最盛期の70%減となり…」
  • ゲートボール
    • 「市場は徐々に伸長し、A社の製品が市場に出回るようになった」
    • 「しかし、その後、ゲートボールの人気に陰りがみられるようになったために、…」

上記の抜粋のうち、問われているのは「市場の特性」ですので、A社固有の事象は関係ありません。従って、与件文から「スポーツ用品事業の市場特性」についてのみ考えます。

解答の導き方

DMU*1にとって大事な事*2は、「みんながそのスポーツをやること」と捉えました。従って、みんながやらなくなると一気に誰もやらなくなるので、市場規模の拡大・縮小が激しいという特徴があります。製品ライフサイクルの変化のスピードが速いということです。
また、ファイブフォースで考えると海外からの廉価版による売上激減や木製から金属に移り変わったことによる代替品の脅威もありますので、さほど高い技術は必要とせず、参入障壁は低いことがわかります。これらの特徴をまとめて解答を導き出しました。

B3Cの補足説明

B3Cのフレームワークと言っておきながら、ファイブフォースが出てきているではないか、というツッコミもあるかと思います。なぜかと言いますと、B3Cの中の一つの要素をファイブフォースを使って考えるからです。
フレームワークって沢山(SWOT、ファイブフォース、アドバンテージリスクマトリックス、VRIO、PEST…)ありますが、そのつながりや粒度を理解していますでしょうか。少なくとも1年前の私は全く理解していませんでした。

フレームワークの概要を理解していても、何を対象に使うか(企業戦略、事業戦略、オペレーション戦略)やそのつながり(B3Cとプロダクトライフサイクル・ファイブフォースの関連)を理解することが大事です。1年前の私も、フレームワークの存在は知っていましたが、何をどう使って、どのようなつながりがあるかは全く理解していませんでした。*3従って、不合格になって当然だったと思います。

まとめ

2次試験の合格のポイントは、本質を学ぶことだと思います。全問記述式の解答ですので、与件文を正確に捉え、事実(定量・定性情報)をもとに論理的に考え、正解を導く必要があります。そのためには、正しく考える力を身につける必要があります。

最近感じていることは、物ごとを捉えるときに大事な事は、どれだけ正しく見ることができるかということです。判断をする前に、まずはそもそも正しく見ることができているかを疑うことから考えるようにしています。どうしても自分が正しいと思いがちですが、それは自分の価値観・判断基準だけで結論を出しています。

まずは現状を正しく捉える、そのためには、フレームワークを使って論理的に分析することも必要になります。また、公平な目で見る前提として自分自身が沢山のことを知っておく必要もあります。

K.I.T.で本質的な考え方を学びたいと思われた方は無料の公開講座もあります。是非一度体験してみてください。
www.kanazawa-it.ac.jp

さらに、はてなでは一緒に働く仲間を募集しています!
hatenacorp.jp
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診断士試験の合格で、基礎知識の確認ができたと思っていますので、これからも日々研鑽に努めます!

このブログは、実務を通じて個人的に学んだ現時点の見解であり、正確性および完全性について保証せず、また責任を負いません。記載内容につきましては、専門家等の意見をもとに自己責任でのご判断をお願いします。
見識の違い等、お気づきの点がありましたら、フィードバック頂ければ幸いです。

*1:「Decision Making Unit」(意思決定単位)の略

*2:重要思考

*3:今でもまだまだB3Cを理解したとは言えませんので、引き続きK.I.T.で学びたいと思います。