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中小企業を極める

人事・総務・法務・財務・社内システムの各分野において、中小企業診断士の視点から役立つ情報を発信します

所得拡大促進税制と雇用促進税制による法人税優遇政策

経済産業省が所管する所得拡大促進税制厚生労働省が所管する雇用促進税制はご存知でしょうか。両者は選択適用ですが、いずれも大きなメリットのある優遇政策です。2つの制度の概要とメリットをまとめたいと思います。

所得拡大促進税制(経済産業省所管)

概要

個人の所得水準の底上げをさらに促進していくため、基準事業年度と比較して国内雇用者に対して給与等を支給し一定割合以上増加させた等の要件を満たした場合、その増加額の10%を税額控除する制度

経済産業省のHPより抜粋

要件の詳細

  • 給与等支給額が基準事業年度の給与等支給額と比較して一定割合(適用年度ごとに異なる)以上増加していること
  • 給与等支給額が前事業年度の給与等支給額を下回らないこと
  • 平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を超えていること

メリット

  • 国内雇用者に対する給与等支給増加額について、10%の税額控除(法人税額10%(中小企業等は20%)を限度)

要件の詳細

  • 複雑なので、こちらをご覧ください。

必要な手続き

  1. 事業年度と前事業年度の給与等支給額の集計
    • 全従業員等に対する給与等支給額の合計と継続雇用者に対する給与等支給額の合計を算出します。
  2. 要件の適用判断
    • 前述の要件の詳細を元に適用可否を判断します。
  3. 税務署に申告します。
    • 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書を作成し、申告します。

雇用促進税制 (厚生労働省所管)

概要

平成26年4月1日から平成28年3月31日までの期間内に始まる事業年度中に雇用者(雇用保険一般被保険者)数を5人以上(中小企業は2人以上)かつ10%以上増加させるなど一定の要件を満たした企業は、雇用増加数1人当たり40万円の税額控除が受けられます。

厚生労働省HPより抜粋

メリット

  • 雇用者数の増加1人あたり40万円の税額控除

要件の詳細

  • 青色申告書を提出する事業主であること
  • 適用年度とその前事業年度に、事業主都合による離職者がいないこと
  • 適用年度に雇用者(雇用保険一般被保険者)の数を5人以上(中小企業*1の場合は2人以上)、かつ 、10%以上増加させていること
    • 雇用者増加数は、適用年度末日と全事業年度末日の雇用者数の差
  • 適用年度における給与等の支給額が、比較給与等支給額以上であること
    • 給与等とは、雇用者に対する給与であって、法人の役員と役員の特殊関係者(役員の親族など)に対して支給する給与および退職給与の額を除く額をいいます。
    • 比較給与等支給額 = 前事業年度の給与等の支給額+(前事業年度の給与等の支給額 × 雇用増加割合 × 30%)
  • 風俗営業等を営む事業主ではないこと

必要な手続き

  1. 雇用促進計画の提出
    • 適用年度開始後2か月以内に本社・本店を管轄するハローワークに雇用促進計画を提出します。
  2. 雇用促進計画の達成状況の確認
    • 適用年度終了後2か月以内に本社・本店を管轄するハローワークに雇用促進計画の達成状況の確認を求めます。
  3. 税務署に申告
    • 達成状況の確認を受けた「雇用促進計画-1」の写しを確定申告書等に添付して、税務署に申告します。

まとめ

経済産業省の所得拡大促進税制は、事前の届出が不要なため、事業年度の終わりに適用可否を確認することだけでもおすすめします。利益を出していること、かつ、所得が拡大していることが前提になりますが、法人税額の10%(中小企業は20%)はとっても大きいですよね。
一方の雇用促進税制は、所得の拡大が条件にはなっていませんので、雇用促進計画の提出だけでも行なっておくことをおすすめします。事業年度の終了時にどちらの税制がメリットがあるかを判定の上、軽減措置を利用できるのがベストかと考えます。

*1:中小企業の定義は、中小企業基本法ではなく、租税特別措置法によります。