組織を極める

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中小企業の前向きなコスト削減〜選択制確定拠出年金

以前、コスト削減への取り組み〜ランニングコスト編と題して賃料交渉等のお話をさせて頂きましたが、今回は前向きなコスト削減のお話です。
前向きなコスト削減なんて滅多にないのですが、選択制確定拠出年金は個人的に一押しの施策です。未導入の総務担当者は是非とも前向きな検討をお願いします!

選択制確定拠出年金とは

詳細は他のサイトに譲るとして、概要をお話しします。毎月受け取る給与の一部を会社が給与支給前に控除します。控除した分を会社から運用機関に拠出し、その拠出金を投資信託等で運用することで60歳(65歳?)以降に受け取る年金の足しにしましょう、という仕組みです。
当然月々受け取る手取額は減少しますが、減少することによって得られるメリットがあります。社会保険料と所得税・住民税の削減です。これが会社・従業員の双方にメリットがあるというのが最大の特徴です。

従来の確定拠出年金との違い

従来の確定拠出年金は、原則全社員が強制加入でした。退職金制度や確定給付年金制度が破綻している企業の受け皿として導入されたためと推測されますが、選択制は文字通り必須加入ではありません。希望する従業員のみが加入することができますので、全社員への強制適用が不要です。また、拠出金の実質的な負担は従業員個人となりますので、会社が負担すべきコストは運用にかかる手数料関係のみというのも魅力です。

従業員にとってのメリット

先に上げたとおり、社会保険料と所得税・住民税負担が軽減されるのがメリットです。詳細なシミュレーションは省略しますが、月額25万円の給与の方が1万円拠出すると仮定すると、年額で約4万円のプラスとなります。理由は、社会保険料の等級が下がることによる社会保険料の軽減と、課税対象額が減ることによる税金の軽減です。
また、拠出金による運用結果により益が出たとしても、その運用益は非課税となります。個人で運用する株式や投資信託の運用益が20%課税されることを考えると、大きなメリットと言えます。

会社にとってのメリット

社会保険料が軽減されるということは、当然会社負担分の社会保険料も軽減されます。社会保険料は老師折半となっていますので、従業員の社会保険料が減れば減るほど会社にとってもメリットが出るということです。
また、選択制確定拠出年金制度があるということで、中途採用における差別化にも繋がります。しっかりしている会社という心象を与えることができるでしょう。

従業員にとってのデメリット

もちろんいいことばかりではなく、デメリットもあります。
  • 原則、60歳まで引き出すことができない。
  • 一度始めたら辞めることができない。
  • 傷病手当金や出産手当金等の受給額が少なくなる。
  • 将来的な年金額が削減される。
個人的には、これらのことを割り引いてもメリットの方が大きいとは思いますが、選択制ですので、みなさんの判断でご検討ください。

会社にとってのデメリット

会社にとってのデメリットは総務の仕事が増えるということでしょうか。運用手数料は会社負担分の社会保険料の軽減でまかなえると思いますので、総務の労務コストとの兼ね合いになると思います。ただ、これだけのメリットがある制度ですので、総務が頑張って会社全体を良くしてもらいたいと。

まとめ

会社にとっても従業員にとってもメリットの大きい選択制確定拠出年金ですが、まだまだ導入実績は少ないようです。
数名規模の会社でも、大企業でもメリットがありますので、総務のみなさまには是非とも検討頂きたいと思います。