組織を極める

組織や人に関することが好きなので情報発信します

自分は人事として何のために働いているのか

中二病っぽいタイトルですが、研究テーマの総本山と感じているので、この機会にまとめたいと思います。今日は、人事として最終的に目指すものは何なのかを考えます。

人事の仕事の中でも最近注力しているのは組織開発です。組織開発の自分なりの定義は、「組織を活性化するためのありとあらゆる打ち手」としています。人事の仕事は「採用」「教育・研修」「人事制度運用(評価・育成)」「労務管理」等に大別されますが、これらを横断的に捉えて組織の課題を解決していく取り組みが組織開発です。

人事の会社における役割は、組織を活性化することで成果につなげることだと思いますが、組織が活性化した状態はどのように測れば良いのでしょうか。

人事は、「組織」と「従業員個人」の両者の視点で責任を負うものかもしれないというのが指導教官の指摘でした。そう考えると、組織開発の効果は、「組織」と「個人」の両者を分けて測ることが求められます。次に考えるべきことは「組織」と「個人」の何を測るのか、ということです。

「組織」の測り方

私の仮説は、「成果と組織の求める雰囲気*1を測ること」が大事であるということです。今月のハーバードビジネスレビューにあった「組織に必要な感情のマネジメント」からヒントを得ました。組織文化は認知的文化と情緒的文化に大別され、見落とされがちな情緒的文化によって職場におけるメンバーの感情の表出が決まる、ということでした。

7Sの中心にある通り、組織においては「Shared Values」≒「組織文化」が大事です。
組織文化という曖昧なものは、2つに分けて考えることができ、ミッション・ビジョン・バリューズ等により言語化されたものが認知的文化につながります。もう一方の組織の情緒的な理念・規範・成果はメンバー間の関係性において構築され変化するものであり、情緒的文化につながります。
後者の情緒的文化の「組織の求めに応じたフィット感」を測ることができれば組織開発の効果も測れるのではないか、と考えています。

「個人」の測り方

個人の満足度の測り方は、各種研究がなされていると思います。リンクアンドモチベーションさんが行っているようなモチベーションをエンジニアリングするという発想での要因分析や、Great Place to Workさんが行っている働きがいのある会社があります。

まとめ

組織開発の効果測定として、「成果と組織の求める雰囲気を測る」という切り口は悪くないかもしれません。「組織の求める雰囲気」とは、私がいつも肝に銘じている「組織は戦略に従う」にある通り、戦略との相互連携から決定されます。人事が戦略を理解し、どのような雰囲気を創りだすのかを明示した上で、そのフィット感を測ることができれば、組織開発の効果測定ができると言えるのではないでしょうか。

組織の求める雰囲気を創ることは、人事の究極的な仕事であり、これこそが自分が働く価値ではないかと思いました。ドゥアブルからデリバラブルと言われるように何を提供できるかが大事です。

雰囲気という曖昧なものをどこまで明瞭化することができるのか、今後も考え続けます。

このブログは、実務を通じて個人的に学んだ現時点の見解であり、正確性および完全性について保証せず、また責任を負いません。記載内容につきましては、専門家等の意見をもとに自己責任でのご判断をお願いします。
見識の違い等、お気づきの点がありましたら、フィードバック頂ければ幸いです。

*1:雰囲気とは感情心理学でいうムードを想定しています。

仕事の仕方に関するアンケートの分析結果

先日、Facebookを通じた友人に「仕事の仕方に関するアンケート」を実施しました。シェアにご協力を頂いたみなさま、ありがとうございました。おかげさまで82件もの回答をいただくことができました。簡単ではありますが、本日はその分析結果をご報告させて頂きます。

調査の目的

変化が速く、不確定で、複雑で、曖昧と言われる時代において、ユーザーに価値あるサービスを届けるためには、仮説、実行、検証のプロセスを高速に回し、小さな失敗を積み重ねることが必要です。一言で言えば「試行錯誤する力」と定義できますが、「試行錯誤する力」とは何かを調べることを調査の目的とします。

仮説と検証したいこと

「試行錯誤は成果につながる」という仮説を検証するために、以下の3つを測ります。

  • どれくらいのスピードで試行錯誤をしているのか(頻度)
  • 失敗が起きてから試行錯誤をするとき、誰としているのか(行動)
  • 試行錯誤をするときはどのような感情なのか(感情)
  • 「良い試行錯誤」と「悪い試行錯誤」があるとして、「良い試行錯誤」とはどのようなものか。

定義

  • 試行錯誤とは
    • (小さな)Plan→(小さな)Prototype→(大きな)Learn→(大きな)Doのプロセスを言う。
  • 失敗とは
    • 失敗=能力と挑戦との差のこと。「挑戦>能力」の場合に失敗する。失敗は多すぎ(無謀な挑戦が多い)ても少なすぎ(挑戦をしていない)てもいけない。

アンケート分析

それでは、アンケートの問いと回答から分析を進めます。

試行錯誤は成果につながると思いますか?

91.5%の人が試行錯誤は成果につながると思っていることがわかりました。「試行錯誤」ということをポジティブに捉えていることがわかります。
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では、次に実際にどれくらいの人が試行錯誤をしているのか、を調べます。

失敗の数とPDCAの数から考える試行錯誤

失敗の数が多くPDCAの数も多い人は試行錯誤をしていると考え、以下の4象限に分類しました。その上で、「どれくらいのスピードで試行錯誤をしているのか」(仮説1)を検証しました。
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(左上)「1週間のPDCAの回数」が0 〜 4回で「1週間の失敗の数」が0 〜 4回

この方達は、PDCAの数も失敗の数も少ないです。PDCAの数と失敗の数が同等ということは、自分の能力・スキルにあった適切な挑戦をしていますが、頻度が少ないということです。

  • 試行錯誤の回数…× 試行錯誤の質…◯
(右上)「1週間のPDCAの回数」が5回以上で「1週間の失敗の数」が0 〜 4回

この方達は、PDCAの数は多いが失敗をしていません。自分の能力・スキルの範囲内での仕事をしているということです。職種や業種にもよりますが、試行錯誤という観点においては挑戦が不足していると言えます。

  • 試行錯誤の回数…× 試行錯誤の質…×
(左下)1週間のPDCAの回数」が0 〜 4回で「1週間の失敗の数」が5回以上

この方達は、PDCAの数以上に失敗をしているということです。自分の能力・スキルを超える取り組みをしていることは評価できますが、試行錯誤の最初に必要な「小さなPlan」が欠けているとも言えます。

  • 試行錯誤の回数…◯ 試行錯誤の質…×
(右下)1週間のPDCAの回数」が5回以上で「1週間の失敗の数」が5回以上

この方達は、PDCAの数も失敗の数も高速に回し、自分の能力・スキルにあった挑戦をしているということです。「良い試行錯誤」と言えそうです。

  • 試行錯誤の回数…◯ 試行錯誤の質…◯

以上から右下に位置する全体の7%の方が、私の定義における「良い試行錯誤」を実践しているとみなしました。91.5%の人が試行錯誤は成果につながると思っていながら、良い試行錯誤を行っている方は7%ということです。このギャップは大きいですね。

失敗をしたとき、どのような行動をしましたか?

次に、「失敗が起きてから試行錯誤をするとき、誰としているのか(仮説2)」を検証します。
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試行錯誤は「自分一人」で行うことが69.5%となり、2番目の「同僚」との差は36.6ポイントもありました。試行錯誤は他者に相談しづらいようです。

試行錯誤したときの感情を教えて下さい。

最後に、「試行錯誤をするときはどのような感情なのか(仮説3)」を検証します。
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「心配」「予測」「喜び」の順に多いことがわかりました。試行錯誤は、心配だが予測もでき嬉しいものであると言えます。
また、今回の結果をもとに感情の相関を調べたところ、「喜び」と「驚き」の相関係数は0.44となりました。「喜び」や「驚き」を高めることでポジティブな感情となり、良い試行錯誤に繋がりそうです。

まとめ

  • 良い試行錯誤をしている人は約7%。
    • →高速に「(小さな)Plan→(小さな)Prototype→(大きな)Learn→(大きな)Do」を回す必要があることを認知することで、良い試行錯誤は増えそう。
  • 試行錯誤は周囲に相談しづらく、約7割は一人でやる。
    • →試行錯誤を奨励する組織風土が必要。
  • 「心配」「予測」「喜び」の順に感情が多い。
    • →不安を取り除き、失敗、挑戦を肯定することで、試行錯誤が増えるのではないか。

成果につながる試行錯誤を増やすためには、経営スタイルや組織風土といったソフト面の改善が必須のようです。具体的には、小さな失敗を奨励し、周囲へ気軽に相談できる状態を作ることだと思います。また、感情面の配慮も重要で、前向きに挑戦できる仕組み作りといったハード面の改善も考えられます。

このように見ると当たり前のことですが、環境を改善することが組織の成果につながるとすれば、人事の取り組むべき課題も見えてくると思います。今後は、試行(作ること・試すこと)と錯誤(まちがいについて考えること・調べること)に分けて考え、「試行」と「錯誤」にどのような差があるのかを考えてみたいと思います。

さらには属性情報とのクロス集計や、定性的なコメントからの気づきもあると思いますので、貴重なデータを深掘りしたいと思います。最終的には「試行錯誤する力」はどのようにして高めることができるのか、を調べたいと思います。
ご協力を頂いたみなさま、ありがとうございました!

このブログは、実務を通じて個人的に学んだ現時点の見解であり、正確性および完全性について保証せず、また責任を負いません。記載内容につきましては、専門家等の意見をもとに自己責任でのご判断をお願いします。
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JBCC2016に出場します

久しぶりにブログの更新です。今回は、水曜日から始まるJBCCについて決意表明をしたいと思います。

JBCCとは、日本企業が抱える問題点・課題をケース分析を通じて提言する、ビジネススクールで学ぶ学生向けのコンペディションです。正式名称は、日本ビジネススクール・ケース・コンペティションで、今回7回目の開催です。私が学ぶK.I.T.虎ノ門大学院は昨年初出場し、見事本戦に勝ち上がりました。
今回は約200チームが予選に出場すると言われていますが、本戦に残るのは20チームです。本戦では20チームがさらに5つのブロックに分けられ、ブロックを勝ち上がった5チームで優勝を競います。

JBCCへの出場動機ですが、昨年の先輩方が挑戦されているのを見て、なんとなく自分も出場したいなとは思っていました。これまでの学びを総合的にアウトプットする場でもありますし、事業再生の第一線で活躍されている方々を中心とした審査員に自分たちの提案がどの程度刺さるのかというのを試してみたいと思ったからです。

私のチームは、お金周りに強みを持つYさん、事業戦略に強みを持つHさん、リサーチに強みを持つKさん、私という4名で構成しました。そして私は僭越ながらリーダーを務めさせて頂きます。私よりもキャリアのある3名のリーダーとして何ができるのか、リーダーシップ論の学びを活かして貢献したいと考えます。

5/18(水)にいよいよケースの発表です。この1年の学びをフルに活かして、全力で挑戦したいと思います!出るからには結果も残します!!

立教大学経営学部のビジネスリーダーシッププログラムのウェルカムキャンプを参観しました

昨日・本日と、立教大学のビジネリーダーシッププログラムのウェルカムキャンプを参観させて頂きました。
このキャンプの受講者は、今年の4月に入学したばかりの入学式前の新入生(約400名)です。私が到着した時にはアイスブレイクの真っ最中でしたが、運営が学生主体でアクティブ・ラーニングを取り入れたファシリテーションが大変勉強になりました。

学生が主体で運営をしている

運営組織は、学生のみでまかなわれているとのことです。今回のキャンプの運営はもちろんですが、授業が始まってからもStudent Assistant(SA)やCouse Assistant(CA)と言われる先輩学生が授業をサポートします。もちろん今回の運営にもSA、CAは関わっています。Student Assistantは18名*1、Couse Assistantは16名。それぞれの役割は、担当教員に寄り添いクラス運営に深く入り込んでいくのがSAで、クラスを横断的に俯瞰し各クラスで得た学びのノウハウを共有するのがCAとのことでした。
教員の参加ももちろんあるのですが、基本的にはオブザーブに徹しており、司会進行を含めて学生が行っていました。

プログラムの内容

プログラムは以下のとおりです。400名をファシリテートするのが学生のみ、というのは驚きですよね。アイスブレイクも上手に取り入れられており、個人的に引き出しを増やすこともできました。プログラムの要所にあった先輩学生のプレゼンテーションも堂々としており、1年間の学びの成果を垣間見ることができました。

1日目

  • 参観ガイダンス
  • 学部紹介、ミニプロジェクト(アイスブレイク)
  • ミニプロジェクト(グループワーク)
  • 決勝プレゼン&クロージング

2日目

  • 参観ガイダンス
  • 1日目の振り返り
  • 質問会議。質問力向上を目的とした先輩コーチとの質問を中心とした会議
  • キャリアを考えるセッション&クロージング

学部での学び

新入生は16のクラスに分かれて学びを進めるとのことです。担当教員ごとにクラスに分かれ、先に説明したSAやCAが授業をサポートするとのことでした。少人数制でゼミも含めて学びを進めるというところが私の学ぶK.I.T.と通じるところを感じます。カリキュラムもMBAさながらでマーケティング、マネジメント、アカウンティング・ファイナンス、コミュニケーションの領域を学ぶとのことです。これだけ実践的な学びがあれば、企業に入社後の活躍も想像できます。

受講した感想

大学教育は大きく変わっているのだなぁと感じました。受動的な学びの場ではなく、アクティブ・ラーニングを取り入れた主体的な学習にシフトしています。ワークショップや会議の進め方を入学1日目から学ぶという立教大学経営学部の先進的な取り組みに本気で驚きを覚えました。

一方で、企業における人材育成・組織開発はそこまでついていっていないのが現状と思います。学術的な理論を背景とした学びの変化を企業における組織開発にも反映していかねばと刺激を頂いた2日間でした。

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*1:60名を超える応募があり、その中から選抜をされた18名とのことでした。

知性と成果の相関から考える組織開発の効果測定

なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践」をいまさらながら読みました。購入したのは昨年の4月だったと思うので、かれこれ1年の積読です。個人及びグループ内の能力開発や変革に関する内容で、今の自分には良いタイミングだったとポジティブに捉えています。

私が一番印象的だったことは「知性*1は何歳になっても高めることができる」ということです。「知性の段階ごとの主体客体関係」という図においては、時間に応じて3段階で知性を高めることができるとされていました。もちろん、時間が経てば誰でも知性を高めることができるということではなく、個人の成長が必要にはなりますが。

以下、私なりの解釈で3段階の知性をまとめたいと思います。

知性に関する3段階

1.環境順応型知性

第1の段階では、周囲に対して自分がどのように貢献をできるのか、ということを中心に考えます。所属する組織の価値基準に照らして判断するという段階です。自らの行動のためには、第三者のものさしが必要というレベルです。

2.自己主導型知性

第2段階になると、自らの価値基準を構築します。このレベルに到達すると、自らを律して主体的に行動できるようになります。自らの信念に基づき、リーダーシップを発揮します。

3.自己変容型知性

第3段階に到達すると、自らを正しいと信じつつも、自らの限界にも気づくようになります。真の正解を導くためには、自らの仮説を修正することを厭わないというレベルです。時には自らを客観視し、矛盾や反対を受け入れることができるようになります。


続いて面白かったのは、これらの知性の段階とビジネスにおける成果には相関があるという事実です。2つの異なる測定方法により結果が一致したとのことですので、信頼すべき結果と思います。有名企業のリーダーを対象にした調査においては、自己主導型の知性を身に着けている方は約5割にとどまり、自己変容型の知性となると1%しか存在しないということです。これは感慨深いですね…


もう一つ。知性のレベルは行動にも影響を及ぼし、知性は測定可能ということです。これは、組織開発の効果測定のヒントになりました。人間を測るには「行動を測る」ということに間違いはなさそうで、さらに「知性」の軸で分類ができそうです。組織全体の知性を測ることができれば、ケイパビリティを定量化できるかもしれないなぁと妄想しております。引き続き頑張ります!



P.S.
この本のメインのテーマは、タイトルの通り人と組織が変われない理由を明確にした上で「いかにして組織を変革するか」です。そのメカニズムは事例を含めて本文に詳細に掲載されています。私の興味関心は、知性の測定にフォーカスされていますが、多くの部分は個人やチームの変革に関する内容であることを補足させて頂きます。

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*1:知能ではなく、「知性」です。念のため。

ディープラーニングから考える組織開発のあり方

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書) を読みました。

きっかけは「AlphaGo」のプロ棋士への勝利です。最近話題のディープラーニングの概要ぐらいは理解したいと思い、CTOのオススメの入門書ということで拝読しました。

ざっくりとした感想は、ディープラーニングの考え方は組織開発に通じる、ということです。私の頭が組織開発に凝り固まっているのが原因かもしれませんが、共感できる部分がたくさんありました。以下、本文を引用しながら考えをまとめたいと思います。

人工知能と組織開発の捉え方

人工知能研究者の多くは、知能を「構成論的」に解明するために研究をしている。構成論的というとちょっと難しいが、「つくることによって理解する」という意味である。それに対応する言葉は「分析的」である。
人工知能研究者が、知能を構成論的に理解したいと望んでいるのに対し、脳を研究する脳科学者は、分析的なアプローチで知能を解明しようとしている。

組織開発も「診断型組織開発」と「対話型組織開発」という手法があります。診断型組織開発は「実証主義」に基づき、対話型組織開発は「社会構成主義」に基づくものもあります。どちらが良い・悪いではありませんが、2つの同じような捉え方が人工知能にも組織開発にもあるのだ、ということが面白いですね。

また、人工知能においては、特徴量をどのように定めるかが大事であり、それを飛躍させたのがディープラーニングだと理解しました。特徴量を定める過程では得られた結果を概念化し、再帰的に抽象化することで「典型的な概念」を取り出すという説明がありました。概念化すれば、最後の意味付けは教師あり学習によりなされるとありました。

このプロセスは、組織開発にも応用できると思います。特徴量を定めるのはあくまでも組織の構成員ではありますが、適切な特徴量に導くのが人事の仕事ではないでしょうか。また、概念を正しく取り出し、その概念を組織として共通のものに浸透させることが、対話型組織開発そのものであると考えました。


対話型組織開発の効果測定

人間の社会がやっていることは、現実世界のものごとに特徴量や概念を捉える作業を、社会の中で生きる人達全員が、お互いにコミュニケーションをとることによって、共同して行っていると考えることもできる。
そして、そうして得た世界に関する本質的な抽象化をたくみに利用することによって、種としての人類が生き残る確率を上げている。

組織開発の効果測定ができないか、と考えていたのですが、ヒントを得ました。組織開発の効果は、共同の「概念化」の質によって測ることができるのではないか、という仮設です。概念化の質は、良い特徴量に依拠すると思いますが、ディープラーニングにおいて、良い特徴量をどのように判定しているのか、をもう少し調べたいと思いました。

また、頑健な概念はノイズを入れても揺るがない、という内容も非常に大きなヒントになりました。組織開発のリバースエンジニアリングのようですが、引き続きディープラーニングから学べることを考えてみたいと思います。コンピュータから人が学ぶなんて、なんだか面白いですね。


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フューチャーセッション「10年後、人事は従業員にどんな人事システム、働き方を提供できるのか」に参加しました

本日は有給を頂きました。子どもが2人揃って熱を出し、妻も仕事の都合がつかなかったので、お休みを頂きました。夕方からは、妻にバトンタッチし、「リクルートワークス&Future Sessions共同企画〜10年後、人事は従業員にどんな人事システム、働き方を提供できるのか」に参加させて頂きました。


不確実性の高い現代において、10年後に人事がどう変われるか、変えることができるのか、を考えるセッションでした。「ソーシャル」と「グローバル」、「安定した働き方」と「自由な働き方」を2軸とした4象限で働き方を分類します。そこから、象限ごとのニーズを整理し、変えるべき制度と成立条件を考えるセッションでした。詳細は、リクルートワークス研究所の『Works』にて取りまとめて頂けるとのことですので、楽しみに待ちたいと思います。


個人的に振り返って面白かったのは、人事は「制度よりも価値観、文化、フィロソフィー」が大事である、とみなさんが考えていたことです。また、我々のチームでは、思いや価値観が大事であり「制度をなくす制度」をつくるというテーマを掲げました。
しかし、人事は本当に腹をくくって実行できるでしょうか。また、社員も同様に、価値観だけをよりどころとして組織にコミットし続けることができるのでしょうか。(現に、自社ではやる自信はないが、他社にはやって欲しいという意見もありましたね。)


価値観(Shared Values)は前提として大事ですが、それだけでは足りません。前回の7Sに繋がりますが、Strategy, Structure, Systems, Style, Staff, Skillsも大事です。価値観を中心として、ハード、ソフトの3Sずつをどう考え、組織の目的に沿った効果を高めることが組織開発です。


今日は良い機会を頂きましたので、会社に戻って10年後を見据えた未来志向で今一度考えてみたいと思います。そして、考えるだけではなく、行動しなければ変化は起きませんので、理想論だけで終わらせないように肝に銘じます。

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