中小企業を極める

人事・総務・法務・財務・広報・社内システムの各分野において、中小企業診断士・MBAの視点から役立つ情報を発信します

個人事業主になるにあたってやるべきこと

前回のエントリーtapir320.hatenablog.jp
で会社を退職させて頂いたことをご報告しました。その後、個人事業主になるにあたってもろもろの手続きを行ないました。意外と大変でしたので、何を行う必要があるのかを共有させていただきます。

前提

  • これまでは株式会社に勤務(関東IT健保)
  • 妻1人、子ども2人。いずれも扶養に入っている
  • 選択性確定拠出年金(401k)を実施

1. 個人事業主の開業届

届出先:税務署
提出期限:開業から1か月以内

何はなくてもまずは「個人事業の開業・廃業等届出書」と「所得税青色申告承認申請書」を提出します。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
特に青色申告の届け出をすることで、年間65万円の基礎控除が受けられますので、確実に届け出をしましょう。

2. 健康保険の切り替え手続き

提出期限:退職日から20日以内

私の場合はITS(関東ITソフトウェア健康保険組合)に加入しておりましたので、任意継続被保険者資格取得申請書を提出します。
http://www.its-kenpo.or.jp/hoken/nini/about/tetsuduki.html
任意継続への切り替えは退職日から20日以内で、また、保険料の納付期限を超えると任意継続から外れることになります。期限を守って手続きをしましょう。
なお、これまでつかっていた保険証とは切り替わりますので、会社に返却します。

3. 国民年金への加入

届出先:区役所
提出期限:退職日の翌日から14日以内
必要なもの:年金手帳または基礎年金番号通知書、退職証明など勤務先・退職年月日のわかるもの

国民年金には扶養という概念はありませんので、妻と私の2人分の加入手続きが必要です。職場から退職証明では妻の加入には不十分ということで、社会保険の被保険者資格喪失届が必要です。身分証明書と年金手帳と一緒に持参し、手続きを行ないます。

4. 401k(選択性確定拠出年金)の移管

届出先:自分で選択する金融機関
提出期限:6か月以内

401kの切り替えはこれまで拠出していた掛金の脱退と、個人拠出への加入の2つのステップが必要です。
まず、企業での脱退手続きは、総務担当に依頼すれば手続きを進めてくれます。(私の場合は自分で行ないましたが)
次に、個人拠出への加入は、自分で拠出する金融機関を選択します。私の場合は、証券口座を開設しているSBI証券としました。申込みから3日程度で資料が送付されてきました。

5. 住民税の切り替え

届出先:区役所(ただし、会社が手続きをしてくれます)

企業に務めている場合、住民税は給与から天引きされます(特別徴収と言います)。個人事業主になるにあたって、住民税は自分で納税する必要がありますので、その切り替えをする必要があります(普通徴収と言います)。通常は勤務先が手続きをしれくれますが、普通徴収に切り替えることで、自宅に住民税の納付書が届きます。

まとめ

個人事業を開始するだけで結構な手続きが必要になりますが、今後も会計システムでの管理や確定申告などの事務作業が増えます。私の場合は管理系の職種柄これも勉強になると捉えていますが、他の職種の方にとっては少々手間かもしれません。事務手続きは苦手な方も多いとは思いますが、一つ一つは大したことではないので、もれなく確実に行うことをお勧めします。

このブログは、実務を通じて個人的に学んだ現時点の見解であり、正確性および完全性について保証せず、また責任を負いません。記載内容につきましては、専門家等の意見をもとに自己責任でのご判断をお願いします。
見識の違い等、お気づきの点がありましたらフィードバック頂ければ幸いです。

イノベーション創出に向けた働き方改革(雇用契約を業務委託契約に切り替えた仮説検証)

新しい働き方を検証するために、9月末をもって会社を退職させていただくことにしました。(突然の報告ですが、びっくりしないでくださいね。)

私がオズビジョンに参画した目的は、日本一の働きがいと働きやすさを実現した組織を作り、イノベーションを起こすことで、世界に通用する価値あるサービスを生み出したいと考えたためです。

オズビジョンではイノベーションの創出に向け、メンバーの可能性を最大限に解き放つ必要があると考え、自律型勤務制度を導入しています。
しかしながら、労働基準法の制約がある限り、(管理監督者だとしても)完全に時間や場所にとらわれない働き方とすることは難しいです。当社の働き方は、労基法に照らすと管理監督者コアタイムのないフルフレックスの2パターンです。フルフレックスの場合は、深夜・休日の制約があり、所定労働時間に満たない場合は欠勤控除が発生します。(当社は発生しませんが)また、管理監督者の場合は、休日の概念はありませんが、深夜についてはフレックスと同じく割増賃金の対象になり、また、労働安全衛生法の観点からは時間管理を行うことが望まれます。

以上の通り、時間や場所にとらわれない働き方を完全に実現するには、今の労働基準法では難しいと考えています。そこで、私自身が業務委託契約に切り替えることで、さらに自由度を増した働き方になるとどのような変化が生まれるかを検証したいと考えました。

組織へのコミットは、契約形態の違い(正社員、契約社員派遣社員、業務委託…)から生まれるのではなく、ミッションやビジョンへの共感の差から生まれると考えています。今回我々が行おうとしているネオ業務委託契約制度*1は、大前提が個人としては自己実現、組織としてはイノベーションを起こすことであり、そのための手段としての制度です。

時間や場所にとらわれない働き方がイノベーションにつながるのか、以下の通り3段階の仮説を立てて検証をしていきたいと思います。

仮説

イノベーション創出には時間や場所にとらわれない自由な働き方が必要である。働き方を自由にすることで個人の生産性が高まり、ひいては職場、組織と好循環が生まれる。

第1段の検証内容と検証方法

個人活動のインプットとアウトプットの変化を調べる

インプット(投入量)の変化

  • 労働時間の変化
  • 休日・休暇の変化
    • オズビジョン、副業、家族、個人の4分類で何にどれくらい時間を使ったのかを測定する

アウトプット(成果)の変化

  • 業務目標における成果
    • 上司、同僚からの評価で測る
  • 業務外における成果
    • 副業の成果
      • 副業先からの評価は、副業先に聞く
    • 家族との関係の質
      • 家族との関係の質は、妻からの評価で確認する(5フィンガーで妻に聞く)
    • 個人活動の成果
      • 個人活動の成果は、ブログ投稿数など行動の変化で測る

ここからどうなるかはわかりませんが、新しいチャレンジになんだかワクワクします。随時近況はアップデートしていきますので、みなさんお楽しみに!

*1:名前がいまいちなので、きちんと考えます

新しい会社のつくり方(Day 1)

こんにちは、久しぶりのブログ更新です。今日は普段の業務とは離れたテーマです。

診断士の学びを活かして、会社設立のお手伝いをすることになりました。私自身も会社を設立したことは無いので、いろいろ調べながら取り組むことになります。その備忘のため、また、今後会社を設立する人の助けになればと思い、学んだことを少しずつアップしていきます。試行錯誤しながらリアルな経験を共有できればと考えています。

まずDay1では、全体の流れを整理しました。専門家に頼まなくても約2週間で会社設立ができるようです。箇条書きを中心に必要事項を取りまとめます。

前提

  • 取締役は2名
  • 出資者(発起人)は知り合いのみ
    • 募集設立ではなく、発起設立とする
  • 社員も採用する

事前準備編

以下の流れで準備をしていけば良さそうです。

会社概要の検討

  1. 社名を決める
    • 類似の社名がないか、調査する
  2. 会社の基本事項を決定する
    • 事業の目的
    • 事業年度(決算月)
    • 本店所在地
    • 設立日
    • 公告方法
    • 資本金、一株あたりの金額
    • 取締役を誰にするか
  3. 発起人と取締役の印鑑証明を取得する
    • 発起人の印鑑証明は、定款認証時に公証人役場に提出する
    • 設立時取締役等の印鑑証明は、設立登記申請時に必要

事務手続き

  1. 定款をつくる
  2. 定款の認証を受ける(公証役場
  3. 法人の印鑑をつくる
    • 実印、銀行印、代表者印(丸印)、角印の4つに分けるのがベスト
  4. 発起人の誰かの通帳に資本金を振り込む
  5. 登記書類を作成する
  6. 登記を申請する
  7. 株主名簿をつくる

役所対応編

税務署、道府県税事務所、市役所に提出するもの
  • 法人設立届出書(法人設立後2か月以内)
  • 登記簿謄本
  • 定款認証を受けた定款
税務署
  • 青色申告の承認申請書
    • 法人設立後3か月以内
  • 給与支払事業所開設の届出書
  • 源泉所得税の納期の特例の届出書
  • 減価償却資産の償却方法の届出書
  • 棚卸資産の評価方法の届出書
労働基準監督署
  • 適用事業報告
    • 従業員を使用するときは遅滞なく
  • 就業規則
    • 従業員数が10名以上の場合
  • 労働保険保険関係成立届
    • 労働保険が成立してから10日以内
  • 労働保険概算保険料申告書
    • 会社設立の日から50日以内
  • 時間外労働・休日労働に関する協定届
ハローワーク
年金事務所
  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
    • 会社設立後5日以内
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
    • 会社設立後5日以内
  • 健康保険被扶養者(異動)届
    • 事実のあった日から5日以内

必要な書類

発起人会

  • 発起人会議事録
  • 発起人設立事項決定書
  • 発起人の印鑑証明書

定款認証

  • 定款
  • 委任状(定款認証用)

株式の払い込み

  • 払い込みがあったことをを証する書面

役員選任

  • 取締役の就任承諾書

本店所在地決定

  • 発起人会議事録(本店所在地決定)

設立時代表取締役の選定

登記申請

  • 設立登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙
  • 委任状(登記申請用)
  • 登記事項提出書
  • (設立時取締役の)個人の印鑑証明書
  • 代表者の印鑑届出書
  • 資本金の額の計上に関する証明書

その他今後のために

  • 法人印鑑証明書
  • 印鑑カード交付申請書

参考書籍

株式会社をつくるならこの1冊 (はじめの一歩)

株式会社をつくるならこの1冊 (はじめの一歩)

オールカラー 一番わかる会社設立と運営のしかた

オールカラー 一番わかる会社設立と運営のしかた

このブログは、実務を通じて個人的に学んだ現時点の見解であり、正確性および完全性について保証せず、また責任を負いません。記載内容につきましては、専門家等の意見をもとに自己責任でのご判断をお願いします。
見識の違い等、お気づきの点がありましたらフィードバック頂ければ幸いです。

経験学習とアクティブラーニングを取り入れた研修内製化のすすめ

気がつけば前回のエントリーから2か月が経っていました…

早いもので夏も終わりですね。毎年楽しみにしている高校野球も気がつけば一瞬で終わっていました。今年は花咲徳栄が埼玉県初の全国制覇を遂げたのですね。

さて、この1か月は怒涛の日々を過ごしていました。社会人人生初の海外出張から3泊4日のBizcamp in 釜石、合間を縫っての社内研修&採用面接を連日こなし、高校野球を見る暇もない毎日でした。今日はその中でも2週間に一度実施し続けている社内研修の話をさせていただきます。

以前のブログtapir320.hatenablog.jp
で研修設計を学ぶ研修に行ってきたという話をしましたが、その学びを活かして研修内製化を行っています。次世代リーダーを対象とした研修を行っていますが、以下の4つのテーマでの研修が終了しました。

  • 第1回:重要思考
  • 第2回:組織運営
  • 第3回:リーダーシップ
  • 第4回:コミュニケーション

これらの研修を設計する上で大切にしたのが、経験学習とアクティブラーニングです。研修内製化を行うにあたって外してはいけない2つのポイントを実践を交えてお話をさせて頂きます。

経験学習

経験学習とは、1) 自らの経験を通じて学習し、2) そこで得た気づきを振り返り、3) 学びを次に応用できるように考え、4) 新しい挑戦に活かす、という4つのサイクルです。この4つのステップを回すことを意識して研修を設計します。具体的には以下のように進めています。

1. 講義をする(20分)

まずは講義から入りますが、一方的に話をすることはしません。ランダムに受講者のみなさんのことを指名し、意見を出して頂くようにしています。講義のテーマとこれまでの経験の関連する質問をすることで、自身の体験と新しい知識の紐付けができるように工夫します。

2. ワークをする(30分~40分)

個人ワークではなく2人一組ないしはグループ(5~6名)ワークとします。一人ひとりが主体的に取り組めるような人数とします。

3. 学びを振り返り、宿題を出す(20分)

ワークで出た議論や、ワークを通じて得た気づきを振り返り、発表してもらいます。また、学びを行動に変えるために宿題を出しています。やるかやらないかは参加者次第ですが、宿題に取り組むことで学びを定着させる効果を期待しています。

4. 振り返りをシェアしてもらう(講義終了後)

社内のイントラネットに振り返りを共有してもらっています。シェアするメリットは、2つです。言語化する過程で内省化が進むことと、他の参加者にとっても新たな気づきになるからです。

以上のような研修の組み立てが経験学習の1)から4)にもつながります。


アクティブラーニング

アクティブラーニングとは、研修の受講者が能動的に参加する学習方法のことです。受講者に文字や言葉でのアウトプットを促したり、グループワークを行ったりする研修方法です。対になるのは講義形式です。なぜ、アクティブラーニングが良いかですが、講義形式の学習効果を測ったところ、受講してから半年後にあらすじを思い出せる人は2%、キーワードだけなら思い出せる人は29%との結果があるからです。自分の学生時代を振り返れば、勉強の記憶がまったくないのも納得ですねw

あともう一つ、研修を設計する研修に通った際に学んだのは説明の組み立てとして、「吐く」→「吸う」→「吐く」のステップを意識するとのことです。「吐く」とは受講者からのアウトプットで、「吸う」とは受講者にインプットすることです。
最初の「吐く」で参加者の「現状のレベル」を確認します。次の「吸う」でレベルに応じた講義をします。最後の「吐く」で受講者にアウトプットしてもらい、理解度を測ります。この3ステップが大人相手の教え方には有効とのことです。

まとめ

研修内製化に取り組まれている人事担当も多いと思いますが、まずは研修の設計手法を学ぶことをお勧めします。その上で、まずはやってみる。やってみると気づきや反省もありますので、改善してまた試す。まさに経験学習のアプローチが研修内製化の精度も高めると思います。

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一流から学ぶべきであるという話

先週の木曜日、ダイヤモンド社が主催する研修開発ラボに行ってきました。研修を内製化するための学びを得る研修です。メタ研修とでもいうのでしょうか。
1日60,000円する研修だったのですが(会社に出していただきました。ありがとうございました!)学びの多い充実した内容でした。
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今回講師を努めていただいたのは、東京大学中原先生、ラーンウェルの関根さん、講師ビジョンの島村さんの3名です。午前中の中原先生の講義では、人材開発とは何かから始まり、研修で外してはいけない7つのポイントとして、職場での育成編、若手マネージャー育成編、研修編の3つのテーマでお話を頂きました。

午後は、関根さんと島村さんがメインとなり、具体的な研修設計のポイントを教えていただきました。研修のための研修ですので、様々な研修手法も織り交ぜられており、自分が講師になるときの技も増えたと思います。

アカデミックな知識をベースとしつつも実務化視点を忘れていない講義はいつも勉強になりますが、改めて一流から学ぶべきであるで感じたことを3つにまとめます。

沢山の学びからのエッセンスを抽出している

一流の方は当たり前ですが沢山勉強しています。沢山のことを学んで来た中でこれが大事だと思うことを抽出して教えていただくので、その濃度は当然に濃くなります。この濃さが圧倒的に違うので、同じ時間を費やしたとしても与えてくれるインパクトが違うのです。

科学的な根拠に基づいている

勘と経験で語る上司や先輩はたくさんいますが、一流は科学的な根拠をもとに説明をしてくれます。伝えていただく内容には明確な裏付けがあり、表面的な内容よりもむしろその背景にこそ価値があると思います。なぜこのような話をするのかを科学的に説明してくれるので、納得感と理解度が高まります。

自分も学び続けなければならないと意識できる

一流の言葉を理解するためには、受講者側にも勉強が必要です。この考え方は知らなかった、この単語は聞いたことがなかったということが頻出するのであれば、自分自身の勉強が足りていないことがわかります。一流の方が抑えていることを知ることで、自分とのギャップを確認できます。

まとめ

研修成功のポイントとして、自己効力感を高めることが大切という話がありました。自己効力感とは、自分もできると感じる力であり、これが高まれば研修後の転移*1が進むとのことです。

来週から私自身が講師となる社内研修がスタートします。前職でも研修内製化は行いましたが、今回の研修を経験したことで一段階パワーアップした研修を企画する自信もつきました。
また、大学3年生を対象としたサマーインターンでも講師を務めます。まだまだ絶賛募集中ですので、学生さんにお知り合いがいらっしゃいましたら、ぜひ情報拡散して頂けると嬉しいです。

oz-vision-internship.com

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*1:研修による学びが行動変化をもたらし、実務で活きかつそれが持続すること

新卒採用の難しさと面白さ

先々週に引き続き岩手に(今回は会津にも)行ってきました。出張の目的はエンジニア採用に向けての大学巡りです。この写真は会津での一コマ。自然豊かな環境が癒やしを与えてくれました。
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本日は、前職では経験をしなかった新卒採用の難しさについてまとめます。

なぜ難しいか

最近の就職活動では売り手市場が続いており、リクルートワークス研究所の調査結果によると、来春2018年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.78倍とのことです。特に従業員規模別の求人倍率を見ると、従業員300人未満では6.45倍と、前年の4.16倍から+2.29ポイント上昇したとのことです。
また、私が就職活動を行っていた当時(何年前の話なんだと言う感じですが…)と比較すると、ナビ媒体で一括エントリーして選考がスタートする以外にも様々な企業と学生さんとの接点があります。インターンから応募するケース、逆求人イベントでのマッチング、エンジニアやデザイナなど専門性に特化した媒体などなどです。
このような市場環境においてどのように新卒採用を成功に導くかを戦略的に考える必要があるということで難しいと考えています。それがとっても面白くもあるわけです。

戦略的な考え方

新卒・中途に関わらず、採用はマーケティングに似ていると考えています。まずは環境分析から始まり、セグメントを区切り、ターゲットを絞り、ポジショニングを設定して打ち手を考えます。マーケターに必要な思考プロセスを採用担当者も求められているのです。最近ではプロリクルーターという職種が認知されつつあることからも採用担当の専門性が認められていることがわかります。

採用と事業戦略のつながり

このような厳しい状況において、社会人大学院での学びが活きています。事業戦略を決めるプロセスと採用活動の戦い方を決めるプロセスが似ているためです。市場を定め、DMU(学生さん)の付加価値を理解し、市場環境における競合と自社を整理して打ち手を考えるという一連の流れが似ているのです。
学生さんと直接話をする中でも仮説を立て、何が大事で何を捨てるべきかを考えていました。そして現地で直接話しをさせて頂いたことで、ヒントを頂けたと思っています。

新卒採用の特性

今のところ導き出した新卒採用の特性は以下のとおりです。

市場の特性
  • 大手ナビ媒体で集客可能な大きな母集団と、地域や専門性などで分散した小さな母集団が共存
    • ナビが向いている企業と向いていない企業があり、当社はナビでの一括募集よりも個別の学生さんとの対話が向いている
  • 学生さんへの認知が低い企業はナビ媒体では埋もれるため、尖った取り組みが必要
    • インターンは企業と学生が出会うための大事な接点なので、学生さんにとって本質的に有益なプログラムを提供することで差別化が可能
DMU(学生さん)の特徴
  • 就活に積極的な学生さんとどう就活を進めればよいか悩んでいる学生さんに二極化
    • 学生起業家やビジコンなどにガンガン挑戦している学生さんもいる一方で、地方大学などは情報が少ないため、直接会って話すことが学生さんへの価値提供になる

最後に

私の働くオズビジョンでも今夏にインターンを行ないます。経済産業省が定義する3つの社会人基礎力を高めるためのプログラムを考えています。1Dayインターンシップだけでは終わらず、その後に3Daysインターンを2回行います。これからの人生を左右する社会人の一歩目を踏み出すにあたって、自分の人生と向き合いしっかりと考えることができるようになることを期待しています。
周囲でご興味のある学生さんがいらっしゃいましたら是非エントリーをお薦めください。僕も講師の一人として参加させていただきます。沢山の学生さんからのエントリーをお待ちしております!

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中長期の組織戦略の考え方

早くも転職して3か月が経ちました。これまでの仕事と一番変わった点は、与えられた課題に対して考えなければならない時間軸が長くなったことだと思います。具体的には、数年先の組織をイメージした上で、今の戦略・戦術・打ち手に落とし込むことが増えました。そのような中で、徐々にではありますが中長期の組織戦略が描かれつつあります。私自身が試行錯誤しながら作っている過程を言語化し、共有することで同じように苦戦している方のヒントになれば幸いです。

考えるプロセス

私の恩師である三谷宏治さんの仰る重要思考を借りれば、「ダイジなことから考え・決める」以外の順番はありません。重要思考では以下のアプローチと定義されています。
 目的・前提
  ↓
 大戦略
  ↓
 効用・中目標
  ↓
 ツール、方策

目的・大前提

「何を目的に組織戦略を立案するか」ですが、私は「経営戦略ないしは事業戦略に沿ったケイパビリティを高めるため」と置きました。常に意識しているチャンドラーの『Strategy and Structure』で書かれている通り、「組織と戦略は相互に深く係る必要がある」のです。戦略はポジショニングとケイパビリティの2軸をベースに考えますが、戦略の実現性を後押しするケイパビリティを高めることが組織戦略を立案する目的と考えています。

大戦略

次に「何をもとに大戦略を立案するか」ですが、BCGのマーティンリーブスが提唱した5つの戦略アプローチをベースにしました。なぜ、この戦略アプローチが適しているかというと、従来の戦略と比較して(改変可能性と予想困難性の2軸のとり方の)抽象度が高く、変化に時間がかかる組織戦略との相性が良いためです。
したがって、まずは事業特性をもとに5つのアプローチから適した大戦略を選定します。当社の場合は既存事業はクラシカル、新規事業はアダプティブ戦略と置きました。既存事業はビジネスモデルも確立されており、持続的イノベーションが求められます。一方で新規事業は不確実性が高いため、継続的実験が必要です。

次に、それぞれの戦略における有効な戦略策定・実行策が定められていますので、ケイパビリティのゴールを想定します。クラシカル戦略は「持続可能な競争優位」を築くために、「分析、計画立案、徹底的な実行」の3つのステップを順番に実行する、アダプティブ戦略は「素早く適応し続ける」ために、「多様化、選択、拡大」のループを素早く実行し続ける。これらが大戦略となります。

効用・中目標

次に「戦略に沿ったケイパビリティにおいて最も大事なこと」を決めます。クラシカル戦略の組織文化では「理念」や「自己実現」が大切であり、アダプティブ戦略の組織文化では「試行錯誤」が大切です。とはいえ、当社は、全社に共通するケイパビリティとして「人の幸せに貢献し、自己実現する集団である」という理念がありますので、共通する価値観として中心に位置づけています。
リーダーシップスタイルに注目すると、クラシカル戦略はフォーカス(目標設定はトップダウンで意思決定し、どこで勝つかを意思決定する)、アダプティブ戦略はフラット&オープン(細かい計画よりもコンテクストを共有する)が大切です。このように戦略に沿った中目標を定めることが必要です。
また、文化やリーダシップスタイルの浸透度を測るには、サーベイを実施して期待度と満足度のギャップで分析をする方法や、社員への定期アンケートを通じて差を取ることが考えられます。

ツール・方策

最後に「どうやって実現するか」を考えます。大きく分けて「HRM(人事制度)」「採用」「育成」の3つで考えます。例えば育成では、外部研修の受講、自社内での研修、OJTなどさまざまな手法がありますが、大切なことはゴールイメージを設定することです。個別の打ち手をバラバラに企画立案し実行に移すのではなく、ストーリーをもった設計をすることが大切です。そのために7Sのフレームワークで事前に整理することをお薦めします。
7Sでは当社の2つの異なる戦略(クラシカルとアダプティブ)において「何が共通化できて、何を別々にする必要があるのか」を決めます。分類した結果は以下の通りです。

共通化できるもの
  • 共有する価値観(理念・クレド
  • 組織風土(オープン・フラットな文化)
  • スキル(スクラム開発、UI・UX)
  • 人的資源(エンジニア、デザイナ、マーケティング、営業、CS)
    • ただし、チーム構成は別に考える
分けたほうが良いもの

考えてみてわかったのが、変えづらいソフトの4Sが共通化でき、変えやすいハードの3Sが分けたほうが良いものとなりました。結果的に、両者の戦略に共通化できるケイパビリティを備えていることがわかりました。次のステップは、変えないこと、変えるべきことを明確にし、「HRM(人事制度)」「採用」「育成」の具体的な施策に落とし込んで行きたいと思います。

まとめ

以上の通り思考の過程を整理してきましたが、最も大切なことは「経営戦略ないしは事業戦略との深い関わり」です。人事だけで組織戦略を立案するのではなく、事業との相互連携をしながら進める必要があります。また、ここまできてなんとか整理ができましたが、試行錯誤の繰り返しも大切です。様々な関係者に何度も壁打ちをしながら磨き上げていくことが良い戦略の必要条件と考えています。


私が働くオズビジョンでは、イノベーションを一緒に起こす仲間を募集しています。
www.oz-vision.co.jp

このブログは、実務を通じて個人的に学んだ現時点の見解であり、正確性および完全性について保証せず、また責任を負いません。記載内容につきましては、専門家等の意見をもとに自己責任でのご判断をお願いします。
見識の違い等、お気づきの点がありましたら、フィードバック頂ければ幸いです。